成人年齢、20歳のままが良い? 18歳にして欲しい!?

2008年03月27日 08:00

成人イメージgooリサーチは3月26日、成人年齢に関する調査結果を発表した。それによると成人年齢の動向と密接な係わり合いがある10~30歳代において、7割の人が「今のまま20歳以上が成人でよい」と考えていることが明らかになった。ただし一概にすべての項目で現行維持を望んでいるわけではなく、例えば選挙権については過半数が「18歳まで対象年齢を引き下げるべきだ」と回答している(【発表リリース】)。

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今調査はネット経由で2月19日から22日の間に行なわれたもので、対象は10~30歳代の男女517人。男女比は約1:1。有効回答数は517人。職業内訳は学生41%、正社員28%、専業主婦・主夫8%など。

現行法では20歳を成人年齢とし、それ未満の歳(未成年)では「してはいけないこと」「権利を与えられないこと」が多数設けられている。しかし最近においては成年認定の年代を20歳から18歳に引き下げるべきだという論議が巻き起こり、法務相の諮問機関である法制審議会でも議論の対象となることになった。では引き下げがあれば実際に影響が生じるであろう「最前線の人たち」はどのように考えているのか、それが今回の調査主旨である。

全体的な結論としては「現状のままでいいヨ」という回答が7割を占め、「18歳以下にすべきだ」という人は3割でしかなかった。

成人年齢引き下げについて
成人年齢引き下げについて

男女別、年齢層別に多少の差異はあるが、全般的にはこの7対3という関係に変わりはない。元々以前から成人年齢を引き下げようという動きはあったものの、その規模はそれほど大きなものではなく、効用や理由もほとんど啓蒙されていない。さらに大きく影響を受けるであろう10歳後半の人たちは、5年もすれば現行法で成人化してしまい、関心も薄れてしまう。このような結果が出たのも当然といえよう。

それでは賛成派・反対派それぞれが、なぜそのような主張をしているのか。その回答を見れば「成人年齢18歳への引き下げ」の問題点やメリットが見えてくる。

■現状維持派(成人=20歳)
・18歳では精神的に未熟……31%
・18歳では社会常識が十分身に付いていない……28%
・18歳では経済的に自立していない人が多い……22%

■変更希望派(成人=18歳)
・18歳から、大人として扱うことで責任や自覚を促せる……56%
・18歳でも経済的に自立している人はいる……10%
・多くの国で成人年齢を「18歳以上」としている……10%

※両方とも上位3位まで抽出


現状維持派が「今の18歳の人たちは成人として認めるほど修練されていない」という意見が多いのに対し、変更希望派は「責任と自覚を与えることで大人への道を後押しできる」と、当事者たちへの期待を込めて変更を望んでいるのが見えてくる。

両派は成人年齢基準の点ではまったく正反対の意見。だが、実は18歳の人たちに対する認識「18歳は成人と未成年の境目。いわば社会人のルーキー」はほぼ同じで「だから成人とは認めない」「だから成人として成長する手助けとなるので認めよう」という考えの違いでしかないことがお分かりいだたけるだろうか。

特にそれが分かるのは、現在20歳以上に認めている項目で、成人化の引き下げに伴う形で「18歳以上ならOK」としてよいものは、という質問。変更希望派はもちろん、現状維持派においてですら、「選挙権」については多数の人が「18歳以下に制限を引き下げてもいいのでは」と回答している。

現在は20歳以上だが制限を「18歳以上」に緩和してよいと思う項目は
現在は20歳以上だが制限を「18歳以上」に緩和してよいと思う項目は

変更希望派への問いでも「親の同意なしの結婚」ですら過半数を割っている。以下、飲酒、ギャンブル、喫煙などすべての項目で過半数割れを起こしているのが興味深い。要は「成人年齢を18歳以上にすべきだ」と考えている人の多くは、「選挙権以外についてはどちらかといえば否定的か意見保留※」であることが分かる。

※その項目に「賛成」しない=「反対」の二者択一ではなく、「分からない」などの意見保留も含んでいると推定されるため


18歳といえば保護者のもとを離れ大学生活を始めたり、高校を卒業して就職する年齢。現行法で成人として認められる20歳になるまでは、年金や各種税金を支払うなどの「一人前の国民」としての義務を求められながら、「成人」として認められていないため選挙権や喫煙などの権利を得られない世代といえる。先の消費者金融問題で流行語になった言葉を流用させてもらえば、この年齢層は「義務と権利のグレーゾーン・エイジ(年齢)」ともいえる。

18~20歳は
権利が無く義務のみが生じる
「権利と義務のグレーゾーン年齢」

そして成人年齢の改正に対して反対する人も賛成する人も、この「グレーゾーン層」が出来たての社会人であるという認識は同じ。健康への留意や金銭的なコントロール感の問題、安易な一生のルートの決定などで失敗することのないよう、飲酒やギャンブル、喫煙、親の同意なしの結婚などの項目の年齢引き下げを拒むのは、「親(切)心」の表れといえる。これらの点における年齢引き下げの是非は慎重な論議が必要だろう。

一方、「義務と権利のアンバランス」を避けるためにも、選挙権に対しては18歳以上に対しても与えるべきではないだろうか。それが「グレーゾーン」問題の解決になるだけでなく、この年齢層に政治や社会のことを自分なりに考えさせる、良い機会になる可能性は高いのだから。

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