「100キロカロリーだ!」「ならうちは90キロカロリー!」カロリー削減競争が進む米スナック事情

2008年03月02日 12:00

90キロカロリーイメージ乾燥した穀物などで固められたシリアルバーやコーンフレークなどの、俗に言う「シリアル食品」はアメリカの代表的な朝食・軽食といえる。大きな皿にコーンフレークを盛り、上からどばどばと牛乳を注ぎ、子どもが不恰好なまでの大きなスプーンですくって口に放り込む様子は、洋画では必ずといって良いほど見かけるシーン。そのシリアル食品やポテトチップスなどのスナック菓子で、今ひとつの競争が起きている。その競争とは「いかに低カロリーであることをアピールするか」というもの。「100カロリー」という定型パターンが浸透した今、バナナの叩き売りよろしく表示カロリーの削減競争が各メーカーの間で繰り広げられているというのだ(元記事:【USA TODAY】)。

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「もっとカロリーを減らして」切なる消費者の願い

アメリカではつい最近まで、多くの人に好かれているシリアルやスナック菓子などの軽食食品に対し、「100カロリー」をうたうことが流行っていた。健康志向が強まったため、「美味しいものは食べたいけど、カロリーをセーブしたいな」というニーズが増えたからだ。ニーズにマッチした「100キロカロリー」の軽食たちは大人気。1年間に2億ドルの売上を上げていた。

Quakerの90キロカロリーシリーズイメージしかし最近では「100キロカロリー」の神通力も衰えてきた。消費者は目の前のスナックが皆「100キロカロリー」を称するのを見て、さらなるカロリー削減を求めるようになった。Kraft Foods社に商品を提供しているQuaker社は「消費者は100キロカロリーに飽きている」と判断、「90キロカロリー」シリーズを発売した。90キロカロリーシリーズを発売したことについて同社の社長は「90キロカロリーで一番のお気に入りは、100キロカロリーより一枚上手だということだよ」と語る。価格競争ならぬカロリー競争に並々ならぬ熱意を注いでいることが分かるだろう。

2003年には「100キロカロリー未満」をうたう食品は7つしかなかったが、2007年には82種類にまで増えた、と分析している専門家がいる。「食べたい、でもカロリーはひかえたいという消費者の内なる声がこのような低カロリー食品の増加をうながした」。一方栄養学者の一人Marion Nestle氏は「これはもう低カロリー戦争ですね。どこのメーカーがもっとも低カロリーな'ジャンクフード'を作るか見守りましょう」と皮肉的な口調で醒めたコメントを発している。

各メーカーの低カロリー戦略と商品展開

ケロッグのKブランドイメージ現在この「低カロリー戦争」で優位に立っているのは先のQuaker社。11種類の90キロカロリー食品を発売済み。ただしこれ以上のカロリー減少はしないという。いわく「カロリーを低く抑えすぎるようなパッケージを創ると、消費者は一つでは満足しなくなってしまう。結局食べ過ぎるので消費者のニーズには合わないし、小さすぎて小腹すら満足させられないというマイナスイメージがついてしまう」。

日本で「アメリカからやってきたシリアル食品」というとまず頭に思い浮かぶのがケロッグ(Kellogg)。未だに100キロカロリーの商品が中心だが、Special K Blissというブランドのシリアルバーなどを90キロカロリーで提供するようになった。

ハーシーの60キロカロリーチョコスティックイメージ他にも「低カロリー戦争」に'参戦'する企業は多種多様な「自社兵器商品」で消費者に攻勢をかける。80キロカロリーのプリンやチーズスナック、ヨーグルト、さらにあのハーシーチョコレート作の「60キロカロリーのスティックチョコレート」まで登場している。挙句の果てに犬向け「50キロカロリーの食事」セットまで発売される始末(デルモンテ製)。

これらの傾向について元記事では、50キロカロリーのペットフードを発売したデルモンテ社のマーケティング部門のコメントを用い「低カロリー化は良いことだ。カロリーをとりすぎることによる罪悪感から解放してくれる(Guilt-Free)のだから」と語っている。

ともかく摂取カロリーを減らしたい、でもお腹一杯食べたいという気持ちはダイエット云々の枠を飛び越え、アメリカの消費者全体のニーズとして存在するものだろう。そこにはカロリーを無理に減らすことによる添加物などへの心配など二の次であるに違いない。


本当に低カロリーを望むのなら、比較的カロリーが低い和菓子などに手をつけてみてはどうだろうか……とも思う(「間食するな」「もっと食べる量を抑えろ」という意見はするだけヤボなので止めておく)。しかし、チョコレートやスナック、シリアルなど「歯ごたえがしっかりしていて味が強烈な」洋風のお菓子に慣れ親しんだアメリカ人には、やはりなじまないのだろう。

日本でも最近「100キロカロリー」をうたうミニサイズのスナック菓子を見かけるようになった。食生活がアメリカナイズしつつある日本のこと、そう遠くないうちにアメリカ同様「100キロカロリー戦争」「低カロリー戦争」が勃発するかもしれない。

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