花粉症薬に関する知識、日本人はアメリカ人より不足気味

2008年02月23日 19:30

花粉症イメージ医薬品や食品など健康に関連する業界で構成される「健康日本21推進フォーラム」が2月1日発表した調査結果によると、花粉症薬についての知識において、日本人はアメリカ人より不十分であることが明らかになった。国民病のひとつとまで数え上げられる花粉症だが、対処する方法の一つとして欠かせない「花粉症薬そのものへの理解や情報収集」が不十分であるようすが分かる(【発表リリース】)。

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今調査は2007年12月、インターネット経由で日米双方で行なわれたもので、日本は500人・アメリカは300人が有効回答数。男女比はいずれも1対1で、年齢構成比は比較的ばらばらだが日本では25~29歳(18.0%)が、アメリカでは60~69歳(20.3%)がもっとも多い。

日米それぞれの花粉症やその薬に対する心構え、情報の習得、理解度は大きく異なる。いくつかの例を挙げてみることにしよう。

花粉症イメージ●花粉症にかかった時、どのような場面で大きく影響があるか

・日本……
  仕事や業務(68.4%)
  家事(32.6%)
  人との交流(29.4%)

・アメリカ……
  レジャーや行楽
  スポーツ(54.7%)
  家事(50.3%)

●花粉症対策として何をしているか

・日本……
  マスクをする(46.0%)
  手を良く洗う(39.6%)
  点鼻薬やスプレー薬を使う(36.8%)

・アメリカ……
  薬局で買った市販薬を飲む(64.3%)
  手を良く洗う(55.0%)
  顔を良く洗う……46.0%

●「インペアード・パフォーマンス」を知っているか

・日本……知らない(92.8%)
・アメリカ……内容を知っている(63.7%)、聞いたことがある(28.0%)

●服用した花粉症の薬が抗ヒスタミン薬かどうか知っているか、分からない人

・日本……51.1%
・アメリカ……24.3%


日本とアメリカでは花粉症に対する心構えが、薬の使用など対処の積極性において大きく異なることが分かる。日本ではマスクや手洗いなどの対処療法がメインだが、アメリカでは対処療法だけでなく薬を投与して積極的に治そうという姿勢が見られる。

「インペアード・パフォーマンス」って何?

「知らない」人が9割以上を占めた「インペアード・パフォーマンス(impaired performance)」については多少説明が必要だろう。これは薬を服用した本人の自覚に関わらず、集中力、判断力、作業能率が低下した状態のことを指す。要は「薬でぼーっとした状態」のこと。花粉症に対する抗ヒスタミン薬をはじめとするアレルギーの薬ではよく見られる症状で、中枢神経機能が薬によって抑制され、認知機能の障害がおきることで発生するものとされている。

抗ヒスタミン薬イメージ日本でも花粉症の薬でそのような状況になることを、「なんとなく」知っている人は多いだろう。が、それを「インペアード・パフォーマンス」と呼び、日常生活において問題視される状況であることはほとんど知られていない。対してアメリカでは9割以上の人が何らかの形で知っているという、大きな違いが見られる。薬を使った花粉症への姿勢が見られるかどうかが、認知度の違いにもあらわれているといえる。

アメリカでは抗ヒスタミン薬を飲んだ後自動車を運転すると、似たような状態になることから飲酒運転と同等に扱われ、厳しい罰則が科せられることになっている。ところが日本ではそのような法律は一切無い。法令の制定は立法の責にあるが、ここにも日本が「花粉症を薬で治すことをしない、そもそも知識を得ていない、その手法が広まっていない」ことがうかがえる。

一方で、「インペアード・パフォーマンス」になりにくい、つまり副作用が通常のものと比べて少ない抗ヒスタミン薬もすでにいくつか登場しているのだが、その認知度はあまり高くない。しかし「もしあれば服用したい」と考えている人は日米共に多い。

●服用後、副作用がない抗ヒスタミン薬がすでにあると思うか

・日本……
  分からない(56.0%)
  あると思う(27.2%)
  まだないと思う(16.8%)

・アメリカ……
  あると思う(46.0%)
  分からない(40.0%)
  まだないと思う(14.0%)

●服用後、副作用がない抗ヒスタミン薬があれば、服用したいと思うか

・日本……思う(80.6%)
・アメリカ……思う(92.0%)


薬に対する理解度・認知度はやはり日本よりアメリカの方が大きい。しかしそれでも「影響を受けにくい花粉症対策の薬はほしい」という思いは日米共に変わらないのが分かる。


花粉症への悩みは日米ともに変わりはないが、対処法としての「薬」に関する認識は随分と違いがあることが分かる。国民性にもよるのだろうが、アメリカ人の方がアグレッシブに立ち向かおうとしている、とでも認識すれば良いのだろうか。

抗ヒスタミン薬などの
花粉症対策薬を使うかは
個人の自由判断。
しかし効用や副作用など
知識は習得しておくべき

「状態が回復できるのならとにかく薬を服用する」という考え方には賛否両論がある。薬に慣れてしまうと体そのもののがその状態に慣れてしまい、自然の免疫力・抵抗力が弱まる可能性があるからだ。ただアメリカ人の場合には「そうしたらまた別の薬で強めれば良い」という、ポジティブというべきか単純という考え方を持つようで、薬の服用にはさほど抵抗感はないらしい。

日本人が抗ヒスタミン薬などの花粉症薬をもっと服用すべきかどうかは改めて論議をする必要があろう。それは別にしても、そのような薬があること、そしてその効用などの知識を持つことは必要だと思われる。また、薬服用時に発生する「インペアード・パフォーマンス」と、そのリスクについても学んでおかねばならないだろう(花粉症薬を服用した後は自動車の運転を避ける、など)。

ちなみに今調査では花粉症にかかるとどんな症状が出るかについても尋ねている。日米共に「鼻水」「目のかゆみ」「くしゃみ」が他を抜いてトップ3を占めている。薬への認知度や対処法、考え方に差はあれど、症状そのものや「辛いな」と思っていることについて、変わりはないようだ。


(最終更新:2013/09/02)

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