できることならしてみたい 究極の花粉症対策は「鼻を……」

2008年02月19日 19:35

花粉症イメージイギリス系製薬会社のグラクソ・スミスクラインが2月12日に発表した「花粉症に関する調査結果」によると、実際にはできるはずが無いこともあわせ、もし可能ならしてみたい「究極の花粉症対策」としてもっとも賛同の意見が多かったのは「(自分の)鼻を取って洗いたくなる」だった。花粉症の対策法の一つとして「鼻うがい」があるほど、鼻の洗浄にはニーズと効用があるが「できることなら自分の鼻を取り、心行くまで洗ってキレイさっぱりしたい」という、花粉症患者(当方含む)の切実な想いが回答率からも見て取れる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は1月22日から23日、20~39歳の花粉症の症状を持ち、かつ部下を持つビジネスパーソン412人を対象にネット上で行なわれたもので、男女比は1対1。年齢構成比は25~29歳が173人、30~34歳が117人など。鼻炎薬を販売しているメーカーによる提供データであることを多少考慮した上でデータを見た方が良いかもしれない。とはいえ同調査結果はいわば「花粉症の専門家」によるものであり、花粉症患者の実情を写し描いた貴重なデータが数多く掲載されているのも忘れてはならない。

実際には不可能なこともあわせ、「プライベートにおいて花粉症の際にはこのような気持ちになるか」と複数回答でたずねたところ、6割以上の人は「鼻を取って洗いたくなる」と答えている。

プライベートにおいて花粉症の際にはこのような気持ちになるか(複数回答)
プライベートにおいて花粉症の際にはこのような気持ちになるか(複数回答)
できることならしてみたい
「鼻うがい」ではなく
「鼻洗濯」
きれいすっきり気持ちよさそう

回答図表について「実際にはできそうにもないこと」を青色で囲ってみた。選択肢の中でも「できないれど、できるといいな!」という想いが、青色の選択肢に対する回答率の高さに見て取れる。中でももっとも回答率が高かった選択肢「鼻を取って洗いたくなる」は花粉症の症状の中でも一番はっきりと出る、そして当事者を悩ませる「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」(どこかのテレビCMのようだが)などの症状の元凶となるため、同感する人も多いのだろう。

「スギの木を切り倒したくなる」は実際に【大量花粉で大影響なスギ林は9.5万ヘクタール・10年間で半減計画】【花粉症対策として東京の杉を植え替え。10年で2割減を目標】にもあるように、一部政策として行なわれている。しかし花粉症の原因はスギ花粉だけにあるわけではなく、スギそのものを日本から無くすことも不可能なので、現実味がないものとして青く囲わせてもらった。しかしそうだとは分かっていても、電気のこぎりを持ち出してスギ林で暴れまわりたくなる気持ちも非常に理解できる(そんなことをしたらもちろんお縄だし、花粉をかぶってエラいことになるのは目に見えているが)。

また「雨を降らせたくなる」だが、確かに雨が降っている際は花粉の量も少なくなるものの、雨があがった後はかえって花粉の量が通常よりも増えるという話もある。やはり現実的な問題としては「花粉症のない場所に行く」あたりしかないのだろうか。


選択肢には無かったが、目のかゆみも酷くなることから「目を取り出して'洗眼'したい」と思う人も多いはずだ。また、鼻や目の症状が悪化すると共に頭ももやもやとし、思考そのものが鈍くなるという経験をしている人も少なからずいるだろう。詳しくは別の機会で解説することにするが、花粉症により経済そのものに大きなマイナス影響が出ているのは否めない(もちろん最近では【花粉症対策医薬品、今年は前年比10%の伸び】にもあるように、特に医療部門における花粉症対策による特需効果もあるのは見逃せないが)。

「スギの木を切り倒したくなる」という選択肢で「一部政策で」という表現を用いたが、花粉症に悩む人の立場からすれば「さっさと全部伐採すれば!?」と思う気持ちもあるだろう。そのような問い合わせが管轄官庁の林野庁にもあったようで、【林野庁内関連ページ】では「(スギ林は)木材資源であると同時に、国土の保全や地球温暖化の防止、水源のかん養等の多様な公益的機能を有しています。これらの公益的機能を持続的に発揮させるためには、一時に伐採・更新を行うことは好ましくありません」とした上で、樹木種類別の炭素吸収量を提示し、スギの木の有効性を訴えかけている。

種類・林齢別炭素吸収量(林野庁データ)
種類・林齢別炭素吸収量(林野庁データ)

もちろん先の政策のように、同じスギでも花粉のことをあまり考えなくてもよい種類への植え替えも進められている(【花粉発生源対策プロジェクトの推進(PDF)】)。個人ベースでスギの木を云々するのは、頭の中に留めておくことにして、政策の効果的な実行に期待するのが無難なようだ。当然のことながら【花粉症対策伐採実験結果「偽装問題」で林野庁の5職員を処分】のような不祥事には厳しい目を向ける必要はあるだろうが……。

(最終更新:2013/08/25)

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