「架空請求」「不当請求」対処の基本は「無視」か「相談」

2008年02月10日 19:00

電子メールイメージインターネットはハードルが低い「道具」で老若男女が利用できるだけあり、さまざまな用途に使われている。良いことに使われれば何の問題もないのだが、悪知恵を働かせてよくないことを企むやからも少なくない。「彼ら」の活動の現われの一つが「架空請求」「不当請求」。テレビや雑誌の再現ドラマを見ると「あんなものにひっかかるはずはない」とたかをくくっていても、いざ自分が遭遇すると慌ててしまい、彼らの餌食になる可能性は誰にだってある。そんな彼らの悪巧みに気をつけましょうという啓蒙サイトは山ほどあるが、先日メールで読者から情報として送られてきたのは【名古屋市の「不当請求かな・・・と思ったら、ここでチェック!」】というページ。これが実によく出来ている。

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「架空請求」「不当請求」の違い

架空請求イメージタイトルで「架空請求」「不当請求」と並べて書いたが、両件は微妙に異なる。「架空請求」は身に覚えのない請求。例えば「オレオレ詐欺」みたいなものだ。それに対して「不当請求」とは契約根拠が不当・不適切にも関わらず(つまり法律上は契約が成立しているとはいえないのに)請求が来るというもの。事実詐称による契約や「1クリック詐欺」が良い例。

「架空請求」……身に覚えがまったくないもの(「オレオレ詐欺」)
「不当請求」……何らかのアクションを当事者がしたが、請求される内容が不当なもの。(「1クリック詐欺」)


葉書や突然来訪して聞いたことも無い契約の支払いを迫られたりなど、この類のものは昔から存在していた。しかし最近インターネットの普及により「手間をかけずに大量の相手に対して単時間に、しかも自分の足跡を残さずに(本当は手間ひまかければ「シッポ」はつかめるのだが、彼らは「身元はばれない」と思っている)」行なえるようになったため、ネット経由での「○×請求」が増えている次第。インターネットの利点を最大限に利用、いやこの場合はフルに「悪用」している、といえば良いだろうか。

名古屋市の専門ページはよく出来ている!

名古屋市の「不当請求かな・・・と思ったら、ここでチェック!」イメージ読者から連絡をいただいた【名古屋市の「不当請求かな・・・と思ったら、ここでチェック!」】では、実に単純明快にフロチャート式で「不当請求」に遭遇した場合の対処法を説明している。基本は「無視」。リアクションをするだけで彼らの利となってしまうからだ。この基本はスパムメールへの対処と変わらない。

「不当請求」の場合、仮に「心当たりがあり、有料だと認識して登録・利用したことがあり、請求先が債権回収業者でなく、請求の根拠が示されていた」としても、消費生活センターに連絡すべし、とまとめている。法定利率以上の額を請求されている可能性があるし、そうでなくとも自分が気が付かない不審な点があるかもしれないからだ。

同ページでは具体的事例も複数用意して説明すると共に、「契約成立」についての解釈(例えば重要部分に思い違いがあり、自分の思っていることと異なる意思表示で「契約」した場合にはその意思表示は「錯誤」として無効となる(民法第95条))やインターネット上の契約で深く関わる法律「電子消費者契約法」についての説明などが懇切ていねいに行なわれている。

一方【架空請求のページ】はインターネット経由の事例がさほどない(というよりは電話や葉書による手法が主流)のため、ネット関係の説明はない。

「彼ら」の立場から考えてみれば、まったく身に覚えのない「架空請求」よりも、法的にはまったく無効であっても何らかの形で身に覚えのある「不当請求」の方が、「エモノ」を捕らえる確率が高いと思われる。インターネットならばそのような「不当請求」を行なう仕組みが気軽に作れるし、反応率も高い。ならば、わざわざ相手のリアクション率が低い「架空請求」をする必要もない。インターネット上で「架空請求」があまりなく「不当請求」がはびこっているのはこのような理由からだろう。

自分だけではなく、周囲の人にも

文頭でも述べたが、インターネットの普及により近所の子どもからおじいちゃん・おばあちゃんにいたるまで、皆が皆、ネットへのアクセス機会を持つようになった。パソコンを利用していなくとも携帯電話でネットを利用できることを考えると、今や電話や葉書と同じくらいのハードルの低さで、しかも利用頻度やアピール度はそれ以上にインターネットを使っていることだろう。当然、「○×請求」の類に触れる可能性も、葉書や電話よりインターネット経由の方が高くなる。

最近はアダルト系・出会い系サイトだけでなく通常のサイトや掲示板、さらにはブログにいたるまで、そのようなサイトへの「窓口」が用意されている場合がある。例えば掲示板に「このサイト、とてもためになるよ」という説明と共に書かれているリンクをクリックしてみると、それ系のサイトだったという事例はよくある話。中には拡張子を偽装してグラフィックのように見せかけてその実「窓口」サイトというものもある(手口は色々あるのだがここで例を挙げすぎると「利用」される可能性があるので止めておく)。

難破船イメージともかく、「危ないサイトを巡回していないから自分はそのような心配は要らない」と思ったら大間違い。インターネットの世界は知識があれば安全で自由で大いに役立つもの、その認識に間違いはない。だが、情報をしっかり把握してルールを知らないと、あっという間に荒波に飲まれてしまうという、中世大航海時代の大海原のようなものであるともいえる。

百歩譲って自分が「ある程度の経験を積んだ歴戦の船長」だったとしても、自分の周りの人、例えば両親や祖父母、兄弟姉妹、後輩など、知識や経験の浅い人は「船を新造したばかりのひよっこ船長」かもしれない。そのような新人船長たちの操る船が、荒波が吹き荒れる大海原に向けて出港しようとしたら、「歴戦の船長」たるあなたはどう思うだろうか。このまま見てみぬふりをして、難破するかもしれないのを黙って見過ごすだろうか。

「そんなの関係ねぇ」。そう思うのも人それぞれの自由判断。しかし当方としては、自分自身の備えが済んだら、周囲の人にも注意を呼びかけるようにオススメしたい。今回紹介した名古屋市のサイトのように、注意勧告をしているページを教えてあげるだけでもよい。

自分自身が「○×請求」の餌食となるのは当然イヤな話だが、自分の身のまわりの人がそのような下らな奴らのワナにはまって頭を抱えている姿を見るのは、同じくらい心が痛むものだから。

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