サントリー開発の「青いバラ」、切り花用として栽培承認

2008年02月02日 12:30

青いバライメージサントリーは2月1日、同社とオーストラリア・フロリジンが世界で初めて開発に成功した「青いバラ」について、1月31日付けで所轄官庁である農林水産省と環境省から、切り花用として栽培や保管など一般の商品として利用できる承認を得たと発表した。2009年から発売する予定(【発表リリース】)。

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観賞用の花としてのバラ歴史は古く、今まで800年の間に数万種のバラが作り出されている。花屋の店頭を見ればお分かりの通り、赤や白をはじめピンク、黄色など多種多彩な色のものが存在しているが、元々バラには青色色素がないことから「青いバラ」は存在していなかった。研究者たちの間で開発が進められていたがかなわず、青いバラは「不可能」を意味する代名詞としても用いられていた。

しかしサントリーは「最先端のバイオテクノロジーによる遺伝子組換技術を用いれば可能になるはず」と判断。1990年から開発を始め、14年かけて2004年に「青いバラ」を作り出すことに成功した。ちなみに開発過程で、同じく世界初となる青いカーネーションの開発にも成功し、こちらは1997年から「ムーンダスト」として販売を開始している。

今回承認を得たのはカルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律)に基づく第一種使用規定によるもの。要は「遺伝子組換をした動植物の流通について取り締まりをしている法律のチェックを受け、栽培したり運搬したり販売したり廃棄しても良いよ。ただし環境中に拡散しないようにね」という国からのお墨付きをいただいたことになる。

サントリーらが開発、2009年から販売を開始する「青いバラ」
サントリーらが開発、2009年から販売を開始する「青いバラ」

サントリーが開発した「青いバラ」には、遺伝子組換技術を用いて従来バラには含まれていない青色色素のデルフィニジンをほぼ100%含んでいる。さらに一部の遺伝子組換食品のように「一代限り」ではなく、通常の交配によって「青色を持つ性質」は子孫に伝わるので、これまでの「赤」「黄」に加えて「青」の色素を合成できるようになる。この仕組みを用い、将来はもっと色々なカラーのバラを作ることができるであろうとサントリー側では述べている。

写真を見ればお分かりの通り、「青」と言っても赤いバラのような「真紅」ではなく、薄い青、表現を変えれば「むしろ紫に近い」ような色。とはいえ、通常の赤や黄色のバラと比べたら、まさに青いバラに違いはない。

代名詞にもされた「不可能」を象徴していた「青いバラ」。これから市場に流通するにつれ、「青いバラ」は「不可能」の意味から、「先端科学」「努力」の代名詞に置き換わるのかもしれない。

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