過半数が「解除お願い」、安心して使うのは5%前後~携帯電話フィルタリングの中高生から見た感想

2008年02月28日 08:00

ネットエイジアは2月27日、携帯電話のコンテンツに対するフィルタリングサービスに関する調査結果を発表した。それによると親に携帯をフィルタされてしまった中高生の過半数が「頼んで解除してもらう」と考えており、「解除して欲しいが我慢する」が1割強もいるなど、大半が抵抗感・反発心を持っていることが明らかになった。一方で「安心して使う」と回答したのは1割にも満たず、大人の考えと実際に使用する子どもとの間には大きなへだたりがあることが分かる(【発表リリース】)。

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今調査はフィルタリングサービスの規制対象となる13~17歳の中学生・高校生に対し2月21~22日に携帯電話経由で実施されたもの。有効回答数は394人。男女比は41.9対58.1。サンプル数がやや少なめのため、世間の実情とはズレが生じている可能性を考慮した上でデータを確認する必要がある。

「フィルタされたら困る」8割に迫る、大人への反発心高まる!?

フィルタリングサービスの内容と実施については74.6%が理解している。しかし実際にSNSや掲示板、アバターなどのコミュニケーション系サイトが利用できなくなると「困る」と考えている層は8割近くにのぼっている(「かなり困る」45.7%、「少し困る」31.8%)。

困っただけでは何もならないので、実際に何をするかを中高生に尋ねたところ、「親に頼んで解除手続きをしてもらう」が過半数を占めた。

フィルタをかけられたら……(全体)
フィルタをかけられたら……(全体)
フィルタをかけられたら……(高校生)
フィルタをかけられたら……(高校生)

「解除して欲しい、けど(してもらえそうにないサイトだから、怒られるから)我慢する」が16.2%を占めるなど、解除をしてもらうべく積極的に行動する派とあわせて約7割が規制に対して不満を持っているのが分かる。これは「困る」派の割合とほぼ一致する。

一方で「フィルタをしてくれたから安心して利用できる」と回答したのは1割にも満たない。さらに中学生よりも高校生の方が「安心して使える」と回答した割合が低いことなど、年齢が高くなるほど大人の規制への反発心が強まることも把握できる。

ネットへの利用頻度を激減させる可能性

フィルタリングが実施されることにより、規制を受けた本人の心境は別として、特定コンテンツへのアクセスがブロックされることになる。この機能により携帯電話経由でのネット利用が減るのではという危惧が以前からおきているが、調査結果ではそれを裏付けるデータが出ている。

■フィルタリングで携帯のネット利用時間や頻度はどう変わるか
・かなり減る……35.3%
・半分くらいに減る……15.2%
・少し減る……24.1%
(「減る」派……74.6%)
・変わらない……23.6%
・安心だから増える……1.8%

■フィルタリングで携帯のネット利用時間や頻度はどう変わるか(「減る」派のうち一部、利用時間別)
・4時間以上利用者
 ……かなり減る(51.4%)、半分くらいに減る(38.6%)
・1~3時間利用者
 ……かなり減る(38.6%)、半分くらいに減る(17.2%)


公開データは一部でしかない。しかしそれを見てもフィルタリングサービスの実施により、特にヘビーユーザーにおいて利用が激減する可能性が見て取れる。とりわけコミュニティ系コンテンツ(掲示板やSNS)にアクセスができなくなる可能性が、時間・頻度共に利用を減らす原因となっているのだろう。


同調査によればフィルタリングの対象となる問題コンテンツに対し、これまでにアクセスした経験を尋ねたところ、「アダルト」では27.7%、「出会い系」では10.2%など、それなりに経験したことがあるという結果が出ている。しかしその一方現状において、携帯電話経由のネット利用について、親から時間や対象サイトの制限を受けている割合はわずか10.2%にしか過ぎない。特に高校生では94%が無制限に利用できるという。

頭ごなしに否定ではなく
なぜフィルタするのか
しっかりと説明・説得する義務が
保護者側には生じる

親からしてみれば「管理しきれないし良く分からない、子どもの話をいちいち聞いたりしてチェックするのは面倒。企業やお上が決めたルールでまとめて規制してもらえば、それが一番楽で確実でしょう」と考えている節がある。子どもへの教育について面倒も何もあったものではないが、これが現実のようだ。

ルールを緩和するべきという動きもあるが、フィルタリングサービスの18歳未満への適用は回避しようがない状況にある。リリースでも分析されているように、携帯関係のコンテンツ事業者・キャリア・広告業界には少なからぬ影響が出るだろう。

他方、5割以上に達するであろう「フィルタを解除して欲しいと願う子どもからの問い合わせ」があれば、親は無下に却下するのではなく、真剣になって耳を傾け、対話をし、確認をした上で対処すべき。フィルタ解除を断るにしても、その理由をしっかりと説明し、納得させた上でブロックを続けさせねばならない。単に親子の力関係を振りかざして拒否したのでは、わけも分からず規制された子どもは反発するだろうし、規制されたコンテンツを隠れて利用する可能性も否定できないからである。

なによりフィルタそのものの意義・存在理由を考えれば、保護者側がそうしなければならない理由は明確だろう。

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