著名預言者曰く「2029年までにロボットは人類と見分けがつかなくなる」!?

2008年02月19日 12:00

ロボットイメージ【BBC News】が伝えるところによるとアメリカの人工知能の研究者であり、「究極の思考マシン」とまで評されている天才科学者Ray Kurzweil(レイ・カーツワイル)氏が人工知能の精度について「2029年までには人間の思考と同じレベルに達するだろう」と予測したことが明らかになった。現状についても氏の曰く「人類の科学技術はごく小さな機械を脳に移植し、人間の知的能力を高める一歩手前まで近づいている(Humanity is on the brink of advances that will see tiny robots implanted in people's brains to make them more intelligent)」とのこと。

スポンサードリンク

このような話がBBC NEWSなどで大きく取り挙げられるのは、発言したRay Kurzweil氏が特異な才能の持ち主であるため。科学者であり発明家であり企業家であり未来予見者でもある彼は、OCR技術や文章の音声読み上げ装置、電子キーボードなど数々の発明品を生み出し、世に送り出している。アメリカの「発明家の殿堂」に加えられただけでなく、ウォールストリートジャーナル誌やフォーブス誌など数々のビジネス誌において「休むことを知らない天才」「究極の思考マシン」とまで称されている。

さらに彼は科学技術の分野における推測能力に優れている(占い、というレベルの話ではなく技術の積み重ねが生み出す飛躍を「推測」する)。インターネットの普及やチェスの試合でコンピュータが勝利するだろうことなど様々な「未来予想」を自書「The Age of Intelligent Machines」や「The Age of Spiritual Machines(邦題『スピリチュアル・マシーン―コンピュータに魂が宿るとき』)」「The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology(邦題『ポスト・ヒューマン誕生 コンピューターが人類の知性を超えるとき』)」で行ない、驚異的な精度で的中させている。それゆえに今件の記事も「単なる一科学者のたわごと」ではなく、「的中率が高い予想の一つ」として注目されているわけだ。

すでに機械技術の発達は人間の知的・物理的行為の多くの面で取って代わっており、人間が手を下すことの何倍もの性能を見せている。自動車や飛行機などは人が歩きでは行きつけない場所へ瞬時に移動させてくれるし、コンピューターは人間が筆算では一生かかっても計算しつくせない方程式を一瞬で解いてくれもするのが良い例。

■人類が直面している科学的問題
・太陽エネルギーの効率的な活用
・核融合エネルギーの有効活用
・炭素隔離の開発
 (温室効果ガスに対する技術的解決法)
・窒素の管理
・きれいな水の確保
・脳の仕組みの解析
・核施設の安全性の確保
・安全なサイバースペースの構築
・バーチャルリアリティのリアル度の向上
・都市構造の改善
・健康情報技術の発展
・医薬品の効果の向上
・個人教育技術の進展
・未知なる自然分野への探求

Ray Kurzweil氏は続ける。ソフトとハードの面で2029年までに、人間が持つ感情面をも再現した人工知能を創り上げることができる、と(恐らくはソフト面において「チューリングテスト」をクリアする人工知能が作りだせる、ということなのだろう)。「すでに我々は機械無くしては生きられない生活を過ごしている。そしてその技術をさらに飛躍させ、物理的・精神的な面で大いなる発展をすることになるだろう」。最終的に行きつくのが「人間と機械の融合」だというのだ。

氏の主張ではそのような技術発展による人間と機械技術の融合は、人類をさらに健康的に、知的に導くのだという。その一つの事例として、細密なナノロボットを毛細血管経由で脳に到達させて、脳と人工ニューロン(脳細胞の一種)をリンクさせることになる(そしてそれが人間の脳の能力をサポートしたり能力アップを促す)、と氏は述べている。

元記事では人類が直面している、そして解決すべき課題がリストアップされている。Ray Kurzweil氏によれば、現在では「できっこない」としか思えないこれらの問題も、時の流れと共に解決しうる、ということなのだろう。

繰り返しになるが氏の「推測」は当方のような凡人からすれば、荒唐無稽(こうとうむけい)なたわごとにしか聞こえないようにすら思える。しかし氏の前歴を見る限り、それが単なる妄想ではなく「もしかしたら……」と思えてくるから不思議なものだ。

よくあるSF上のストーリーとして、人類という系統の「知(識)の系統」を人類が作ったロボットが継承するが用いられる。『ピルバーグの映画「A.I.」』はよく知られているし、当方の愛読書の一つ『国立博物館物語(岡崎二郎)の最終巻』でも「心の系統」としてロボットと人間に関する話が語られている。

Ray Kurzweil氏の予測通り、2029年までにハード・ソフト両面において人間と何ら変わりのない、感情面も豊かな人工知能が誕生したとする。果たしてそこに「心」はあるのだろうか。彼らと「人間」とはどこが違うのだろうか。氏の予測が現実のものとなったとき、考えねばならない問題の一つに挙げられることだろう。


(最終更新:2013/09/07)

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ