違法着うた利用者は16%、うち7割は「無料で便利だから」と開き直り

2008年02月23日 12:00

アイシェアは2月22日、着信メロディ(着メロ)や着うたに関する意識調査結果の一部を発表した。それによると著作権に抵触した着うたについて1割強の人が利用した経験があり、その経験者の中では7割強が「無料や便利だから(違法だと分かっていても)利用する」と回答していることが明らかになった。あるいは自己中心主義的なものなのかもしれないが、著作権に関する認識が甘い様子がうかがえる(【発表リリース】)。

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今調査は2月5日から7日の間、アイシェアが運営している携帯向け無料メール転送サービス会員のうち、着うた・着メロダウンロード経験者を対象に行なわれたもの。有効回答数は352名。男女比は男性:女性=51.7:48.3、年齢構成比は20代44.6%・30代55.4%。回答数がやや少なめのため、世間の実情とは多少のずれが生じている可能性を考慮してデータを見る必要がある。

今調査結果では、

・着信音では環境などのサウンド系の人気が新曲以上に高い
 (保険会社の着信メロディが人気)
・着信音は6か月以内に変更する人が過半数
・公式サイトより一般サイトからダウンロードする人が多い


などの傾向がみられた。短時間で曲の雰囲気が分かり、テレビなどで繰り返し流されることで耳障りのよい、軽快なメロディが多い保険会社の音は、着メロにはぴったりなのかもしれない。

さて気になるのは「著作権に抵触している着メロ・着うたサイト」について。携帯電話が大多数の人に普及し需要があるということで、一山当てようとばかりに「著作権を無視した着メロ・着うたサイト」が多数存在しているのは否定できない。媒体は違えど実情はコピーした音楽CDをネット上で販売しているのと同じで、権利保有者側が「動けば」厳しい罰則の対象となる。

そのような問題のある着うたなどについてどう思うかたずねたところ、6割以上は「違法サイトと分かれば利用しない」と回答している。しかしその一方、知っていたか知らずかは別として2割近くは「使ったことがある」と答えている。

著作権に抵触した着うたサイトをどう思うか
著作権に抵触した着うたサイトをどう思うか

「良く分からない」が2割強いるが、もしかするとこのうちの1/3~半分くらいは「知らないでダウンロードしたことがある」に含まれるのが実情かもしれない(つまり現在も「使っている着うたサイトが違法かどうか分からない」のであり、その中には実際に違法なサイトもあるということ)。

違法着メロサイト利用者の
3/4は
「違法だと分かっているけど
無料だし便利だから使う」

問題なのはダウンロードしたことがあると答えた16.1%(4.5%+11.6%)の層。全体に占める割合では11.6%、ダウンロード経験者の中では実に72.0%は「違法なのは分かってる。けど無料だし便利なので使っちゃう」と答えていることだ。著作権法に対する啓蒙が足りないからなのか、個人の認識が甘いからなのか、それとも遵法意識が薄れているのか、具体的にこの「使う」層に尋ねなければ真義は分からない。しかし良い傾向でないことだけは確かである。


音楽やその他の音をパソコン上にデータとして取り込み、着メロ・着うた用に変換することは、実はそれほど難しいことではない。今ではさまざまなツールが用意されているしノウハウも蓄積されているので、ちょっとした用意があれば誰でも着メロ・着うたサイトを創ることができる(もちろん公用の、市販されているサイト提供のデータは、それなりに工夫と努力によって作られている。現場にいた身から言わせれば、機種毎の違いとか時間制限とかボリュームの問題とか色々と大変なのよ、実は、ね)。

しかしそれと違法なデータ・サイトを公開してよいこととは別問題。多少であってもビジネスとして運用するのはもちろんのこと、例え完全に無料で趣味趣向のためであっても、禁じられていることに違いは無い。いわば週刊誌や単行本の全ページをスキャナで取りこんで発売日に公開するのと同じようなものだからだ。

もちろん権利保有側全体、というよりは携帯電話を取り巻く環境全体で、著作権のあり方や進むべき道は大いに論議されるべきであるし、啓蒙活動をしなければならないのは言うまでも無い。教わらなければ、学ばなければ分からないのだから。

販売されているCDや、テレビやラジオで取得したデータを着メロ・着うたのデータにして勝手に配信することがいかに問題のある行動なのか、そもそも著作権とはどのようなもので、どうして守らねばならないのか。懇切ていねいに説明して教え説かないと、聞いている側は単なる小言にしか受け止めてくれない。

著作権が理解できる、そして納得の行く説明をし、自ら守ろうという意欲を芽生えさせるのが啓蒙する側に求められることだろう。

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