昨年末までの国内金融機関のサブプラ商品保有額は1.5兆円、損失は6000億円

2008年02月14日 08:00

金融庁は2月13日、日本国内の金融機関が保有しているサブプライムローン(アメリカの低所得者向け住宅融資)関連の金融商品の保有簿価が2007年12月時点で1兆5190億円にのぼり、現在の含み損が1580億円・2007年4月から12月までに損失を確定(売却・減損処理)したものが4420億円、合わせて6000億円に達したことを発表した(【発表リリース、PDF】)。

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これは先に【日本国内金融機関が抱えるサブプライムローン商品、9月末時点で1兆3300億円分】で報じた、2007年4月から9月を対象にした前回調査に続くもの。重なっている期間を除いた新規追加分の期間(10月~12月の3か月)で損失確定額は2倍以上にふくらんだ計算になる。

数値的概要としては次の通り。

・大手銀行……評価額:1兆3880億円(1兆2460億円)、含み損:143億円(122億円)、確定損失:399億円(122億円)
・地域銀行……評価額:800億円(115億円)、含み損:9億円(6億円)、確定損失:28億円(9億円)
・協同組織金融機関……評価額:510億円(470億円)、含み損:6億円(7億円)、確定損失:15億円(10億円)
・合計……評価額:1兆5190億円(1兆4070億円)、含み損:158億円(135億円)、確定損失:442億円(141億円)

※評価額=簿価
※()内は2007年9月末時点
※大手銀行には農林中央金庫や新形態の銀行、協同組織金融機関には信用金庫などを含む


これらの数字から読み取れることについて概要と問題点を箇条書きにすると次のようになる。

■概要
・大手銀行や協同組織金融機関は簿価が増えているが、証券化商品の価格は下落しているのが現状。よって、個別の評価額が増えたのではなく新たに対象が判明したものと思われる。
・売却や減損処理など確実に「敗戦処理」「損切り」は続いている。
・今後「現在明らかにされている」保有商品において、「評価額」の部分が100%近くまで「含み損」あるいは「確定損失」に移行する可能性はある。

■問題点
・欧米の銀行傘下にある投資会社(SIV……サブプライムローンなどを取り扱っている)に投資し、間接的に投資や融資をした案件の損失は未集計。
・明確なペナルティの無い「ヒアリングベース(聞き取り調査)」での集計なので100%信用がおけるとは限らない(隠ぺい、未確認の商品が存在する可能性)。
・該当しない関連金融機関(例えば【野村ホールディングス(8604)】や日興シティグループ証券などの大手証券会社)の損失は対象ではない。


G7終了後各国首脳陣からは、サブプライムローン問題の世界的な解消には4000億ドル(43兆円)の資金投入が必要とのコメントが出されている。また、かつてのバブル崩壊時に日本の企業が損失発表を小出しにしたことから、一部海外メディアでは不安をあおり立てるような推測記事を出し、情勢を混乱させるとしか思えない動きすら見られる(【参考:サンデー・テレグラフ】)。

サブプライムローン問題については、取り扱いをしている金融機関側でも「損失の確定を見定められない」という難点がある。直接企業自身が売買していなくとも、SIVの例のように取引・融資・投資先がサブプライムローン商品を扱っていた場合、間接的に損失を受ける可能性があるからだ。ある投資信託を購入していて、ある日突然運用会社から「実はこの投信にはサブプラが多分に含まれていて、評価が半減してしまいました」などといわれるかもしれない。

「不安」という人間心理は「情報の不確かさ、不足性」によって形成される部分が大きい。サブプライムローン問題も「どれだけまだ残っているんだ」「また隠しているんじゃないのか」「どこまで派生するんだ」など、ゴールの見えない状況が不安をかきたて、金融市場への不信(と不振)につながっている。

金融庁においては今後サブプラ商品の保有額に関するヒアリングについて「その時点で判明している案件について正直に回答しなかったことが後で判明した場合、事業免許取り消しも含めた厳しいペナルティを与える」など情報開示に対する断固たる措置を取るという選択肢もある。厳しい精査を求め、その条件下で集計され発表されたデータなら、仮に今件発表分に倍する損失額だったとしても国内外の市場に与えるポジティブな影響は計り知れないものがあるに違いない。


(最終更新:2013/08/11)

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