太陽の光で二酸化炭素を分解・太陽炉利用の新技術開発

2008年01月28日 06:30

太陽光イメージ[このページ(jiji.com)は掲載が終了しています]などが伝えるところによると、福井県の外郭団体【財団法人若狭湾エネルギー開発センター(WERC)】は1月27日までに、太陽光を集めて高温状態を作る「太陽炉」を利用し、二酸化炭素を分解する仕組みの開発に成功した。一日あたり2キログラムの二酸化炭素を分解できるという。

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仕組みとしては、酸化鉄を太陽炉で加熱することにより、不安定な酸化鉄(FeO)と酸素に分解。そのFeOが二酸化炭素と結合する過程で分解されるというもの(酸素と炭素も精製される)。この太陽炉の技術はWERCの2006年度研究成果報告書に記載されている太陽炉の技術を応用したもので、正式名称は【大型太陽炉の製作と太陽熱エネルギーを利用した水素製造技術の開発(PDF)】。数年来太陽光をエネルギーとして活用できる太陽炉の開発をWERCでは行なっていた。太陽炉の特徴・利点は

・クリーンで無尽蔵な太陽光を利用できる。
・最高3000度の高温が比較的容易に得られる。
・不純物の混入が少なく、任意の大気中で対象を加熱、冷却できる。


など。もちろん使用が天候に左右されるなどの弱点もある。

太陽炉イメージリンク先の実験では酸化鉄の精製や水を分解した水素の発生を実施、それぞれ成果を得ている。なおWERCの試験太陽炉では、ひまわりのように太陽を追いかけてレンズの方向を変化させるため、電動機とリングギアを連動させた仕組みを採用している。

2006年の時点で10kWの出力を得られる大型太陽炉(レンズ面は3.3×3.3メートル)が出来たと説明されているが、先の時事通信でも同じ太陽炉の写真が掲載されていることから、今回の二酸化炭素分解においてもこの太陽炉が使われたものと思われる。

高熱に物質を加熱させた時のエネルギーを反射させて使う反射炉が容易に作れることや、技術的な問題の他に天候に左右されるなど運用上の弱点から、太陽炉はあまり人気がない。わずかにNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の海外レポート【NEDO 海外レポート(PDF)】の中で、アメリカのサンディア国立研究所において10Kwの高フラックス太陽炉に関する言及が見られる程度である(熱化学水素生産テストに用いられているそうな)。

太陽電池と同じく、太陽の恵みをそのまま直接受け取り、利用できる太陽炉。その太陽炉が二酸化炭素の分解に役立つ仕組みを提供するとなると、「人間のヘマを太陽に尻拭いしてもらう」ような感じもして、多分に申し訳ない気もしてくる。とはいえ、背に腹は代えられないのも事実。規模はまだ小さいが、今後の実験成果に期待したいところだ。

素人考えではあるが、どのみち「太陽追尾システム」が導入されているのなら、太陽電池と重ね合わせ、「二酸化炭素を分解しつつ電力を供給する」という一石二鳥型の発電ユニットなどできると最強なのだが……。

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