二日間の株価上昇で信用評価損率も改善、最悪の事態からひとまず脱す

2008年01月19日 12:00

株式イメージ【松井証券(8628)】が1月18日に発表したところによると、信用取引で株式を購入している「信用買い方」の信用評価損益率は1月18日でマイナス23.906%となり、過去最悪の数字を記録した1月16日のマイナス29.122%からやや改善、最悪の状態からはひとまず脱したことが明らかになった。

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松井証券では2002年7月17日約定分から、信用取引に関する残高や評価損益率などを当日公開している。今データは松井証券に口座を開き専用ツールで閲覧するか、誰でも無料で購読できるメールマガジン「松井証券マーケットプレゼンス」で確認できる(【サービス開始リリース、PDF】【メルマガ発行スタンド(まぐまぐ)】)。対象データは松井証券の顧客に関するもののみだが、2002年の段階で信用取引順位は東証正会員123社中、株数ベースで2位、金額ベースで8位と大きな割合を占めており、各種信用取引に関する同社発表データは、相場全体の様相を確認するのには役立つ指標となる。

「信用評価損益率」とは、個人投資家などが信用取引を使って株式を購入した場合における、その株式の含み損益を表す。要は「借金をして買った株の評価損益」。マイナスなら含み損、プラスなら含み益という具合。信用取引では一般に半年間で売り方も買い方も取引を精算する必要があるため、損切りラインの設定も現物取引と比べるとシビアな場合が多く、通常はマイナス10%を超えると「損切り」、つまり損失確定売りが増えるといわれている。

1月16日には大幅な株価の下落で【信用評価損率が算出来で計測史上最悪の値に・今後急速に「投売り」増加か】にもあるように信用評価損益率の買い残においてマイナス29.122%を記録。「信用買い方は-29.122%の含み損を抱えている」という状況になり、今後株価下落が続けば信用買いをした投資家の追証回避売りが加速するのではないか懸念されていた。

幸いにも日経平均は17日には278円94銭高、18日には前夜のアメリカ市場が大きく下落したにも関わらず77円84銭高をつけ、この2日間で356円78銭(2.6%)の上昇を見せた。この株価上昇を受け、18日分の信用残速報によれば

信用残(億円)/評価損益率(%)

売り残……149.73/-1.386
買い残……2,362.95/-23.906

※倍率 15.781倍


となり、買い方は5%強状況が改善した。一方、株価上昇率が2.6%に過ぎないにも関わらず、売り方の損益が2日間で6.6%も減じ、マイナスに転じているのが気になるところ。なお今データは松井証券の顧客のみのものだが、恐らくは市場全体もさほど変わりはないだろう。

1月18日の日経平均動向。ブッシュ大統領による景気刺激策の発表そのものは相場が始まる前に報じられていたにも関わらず、前場と後場では雰囲気がまったく別物であることが分かる。
1月18日の日経平均動向。ブッシュ大統領による景気刺激策の発表そのものは相場が始まる前に報じられていたにも関わらず、前場と後場では雰囲気がまったく別物であることが分かる。

上記のチャートに示した昨日18日の市場展開のように、昨今は「大人」と呼ばれる機関投資家、ヘッジファンドや日経平均先物による大規模な市場操作まがいのことがひんぱんに行われる傾向が見られる。当然、一発勝負を狙って自分の許容範囲を超えた取引をすると、あっという間に「退場処分」を受ける可能性も高まっている。

2日間の売り残・買い残の評価損益率の変化度合を見ると、特に売り方に無理めな相場の張り方をしているような感がある。昨今では一般週刊誌ですら空売りを推奨する記事が見受けられる。投資の選択肢を増やすという意味では信用取引における空売りも間違ってはいないのだが、失敗した時の損失は単純な現物買いとは比べ物にならない可能性も秘めている。信用取引は突き詰めれば「借金をして株を買う」「株を借りて売る」ことであることを再確認した上で、相場に臨む必要があろう。


(最終更新:2013/08/18)

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