クレーム対応7つの心得・ブログ運営版

2008年01月24日 19:50

クレーム対応イメージ先日発売された週刊ダイヤモンドの特集記事「恐怖のクレーマー」は色々と考えさせられる内容だった。学校や医療現場などではびこる、常識では考えられないクレームによって、各業界がマヒ状態に陥る場面もある、というお話が語られていた。

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記事の後半部分ではお決まりのパターン。「クレームを利益に」とのサブタイトルで、「災い転じて福となす」の考え方から、将来の利益を生み出す源になるとしてクレームを有効活用しよう、という内容が展開されていた。それはそれで非常にポジティブな考え方であり、正しい方法論に違いない。

しかし同時に「常識を無視してでも自分さえ利益を得られれば良い(「法的に問題があっても被害者のお面をかぶってばれなければ問題ないね」)」と考える人によるケースが増えているのも事実。むしろ先の「窃盗」と「万引き」の話ではないが、「クレーマー」と「恐喝行為」を同等にとらえている節(記事内だけでなく、世間一般として)もあり、はてなマークも頭に浮かんだ。

ともあれ、色々と考えさせられ、経験を得たという意味でも非常に良い読み物であることに違いは無い。

さてその特集の後半部分で、苦情やクレーム対応アドバイザーとして経験豊富な関根眞一氏による「苦情対応7つの心得」というリストが掲載されていた。非常に簡素に、そして分かりやすくまとめられていて、恐らく多くのパターンで活用できる汎用的な内容のものだ。そこでここではそのリストをまとめなおし、さらに「ブログ運営だったらこの項目はどのように考えれば良いのだろうか」と考えてみることにしたい。

●1.非があれば、素直に謝罪する

原因・非がこちらにあった場合には心から謝罪すべきというのが原文。逆説的に考えれば「明らかに非がない場合には謝罪をする必要はない」とも受け取れる。ブログ上でミスをしてしまった(例えば月日のミスタイプしてそれを指摘されたり、予告していたことを忘れた)場合には、事実を隠ぺいすることなく素直に謝ろう。

●2.相手の話は、感情を抑えて素直に聞く

クレームを寄せる人は感情的になっている場合が多い。素直に聞けば相手も落ち着くだろう、というのが原文。ネットの場合にはつい感情的な返答をしてしまい、感情論の展開になり、さらに周囲も面白がってあおり立て、俗にいう「炎上」状態になりかねない。

直接のクレーマーとブログ運営上の違いは、その「感情」が形になって残り、蓄積されてしまうこと。時間が経って相手の高揚感が収まっても、書き込みが残っていると再度目にした時にその気持ちの高まりがぶり返すことになる。さらに第三者が読むことでそれが伝播される可能性すらある。「ついかっとなって」ではないが、あくまでも冷静に、が原則。「相手の土俵に乗せられたら負け」という言葉もある。

●3.正確にメモを取る

クレーム対応イメージ原文では「言った」「言わない」の応酬を避けるだけでなく、状況を落ち着いて判断できるメリットもある、と説明。ネットの場合はスクリーンショットやログの保全が該当するだろうか。掲示板の書き込みやメールのやり取りの場合、記録は簡単に残せるのでかえって忘れてしまいがち。対応が必要な状況になった場合、相手だけでなく自分の行動を振り返り事実誤認がないよう、しっかりとデータは残しておこう。

●4.あわてず冷静に考えてから説明

事情説明や誤解の訂正の場合には、慌てず冷静に。同時に相手へのあからさまな迎合も禁物、とは原文の談。掲示板・コメント欄での意見の応酬、チャットなどでのやりとりではつい気分が高まったままで思いをそのまま文章にしてしまいがち。自分が語ろうとしている文章をもう一度読み返し、それで本当に良いのか、第三者の目に触れさせて問題は無いのかを考え直した上で対応しよう。

●5.苦情現場を確認する

クレームが生じた現場を確認し、事実も合わせてチェックする。現場の情報に即した対応をすれば、回答すべき内容も的を射たものになる、というのが元の説明。ブログ運営上では「現場」はブログそのものでありコメント欄や掲示板に他ならない。相手の辛らつな意見も、実は相手側の読み間違いや勘違いでしかなく、自分には何ら非がない場合もある。クレームが発生した個所をもう一度読み直し、本当に相手の主張が正しいのかどうか、事実誤認をしていないかどうかをチェックしよう。

●6.一般の苦情客を、クレーマーに仕立てない

苦情客に安易に迎合して(例えば金銭などの)要求に応じていると、味を占めてしまい、何度と無くそれを求めるようになる。嫌な意味でも「人間は学習する」という恒例だ。このようなパターンは避けねばならいと原文では伝えている。

ブログの運営もしかり。「堅苦しいからですます調にしろ」「自分は緑が好きなのでイメージカラーを緑にしろ」「写真を大量に載せろ」「アイドルの最新情報を追跡しろ」などといった要求に容易に応じていると、自分が運営しているブログが「これ、誰のブログなの?」と自問自答してしまうことになりかねない。意見は意見として拝聴する姿勢は大事だが、それに流されて自分自身を見失っては元も子もない。

意見を自分の糧とするか、それにただ流されるのか。自分の本髄をしっかりと持ち、日々更新を続けていこう。

●7.お客様から学ぶ心

苦情の無い企業はお客があきらめた企業。お客の声から学ぶという意識こそが、明日を確実なものにしていく、とは原文いわくの話。

「6.一般の苦情客を、クレーマーに仕立てない」とのバランスが重要になるが、自分が良いと思った意見は苦情だろうと何だろうと材料として検討し、自分の骨や肉にできるかどうか考えてみよう。


問題のあるクレーマーへの対処といえば、『虚栄の掟 ゲームデザイナー(佐藤大輔)』における対応策が思い起こされる。ゲームメーカー社員の主人公が、自社ゲームにクレームをつけてきたお客へ対応する場面なのだが、まずは事実を素直に認める。その上でその事実を発見したお客をほめ称え、さらには「あなたのように気づいてくれる方こそもっともありがたいユーザーです」と感謝の意まで伝えてしまう。すると不思議とお客の怒りは収まるだけでなく、一層「忠誠心」の高い優良客となってしまうのだ。いわく、お客も会社も対応した主人公も「みんなハッピー」。

関根氏の語る「7つの心得」も突き詰めれば、「みんなハッピー」を求めているに尽きる。どうしようもない、らちの明かない相手も中にはいるが(最初に述べたように、最近そのカテゴリーに属する人たちが増えているのも事実。残念ながら……)、大部分は素直で優しく、他人のことを思いやる心に満ちあふれている人たちに違いない。思いやる心が大きすぎるあまりに、そのベクトルがちょっとずれて、クレームという形になって現れたと考えれば良い。

そのベクトルのずれを修正することで、企業もお客も「みんなハッピー」になれる、はず。ブログ運営もしかり。「7.お客様から学ぶ心」で語られている「苦情の無い企業はお客があきらめた企業」にもあるように、声をかけてくれるということは、それだけ自分(のブログ)を気に留めてくれているに違いないのだから。


(最終更新:2013/09/07)

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