【更新】アメリカの景気刺激策、15兆円の規模で実施へ

2008年01月19日 12:00

ブッシュ大統領イメージアメリカのブッシュ大統領は1月18日、アメリカの国内総生産(GDP)の1%に相当する1400億ドルから1500億ドル(約15兆円)の景気対策を実施すると発表した。歳出を増やすのではなく、減税が中心のプランとなる(【プレスリリース】)。

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ブッシュ大統領はアメリカの現在の景気状態について、雇用は創造され個人消費は成長しているものの、住宅市場が低迷していること、設備投資や輸出は増加傾向にあるが、原油価格の高騰が継続中であるとした上で、

今後も成長を続ける見込みであるが、過去数年間の劇的な成長ぶりは見込めず、遅いペースでの成長になるだろう。そして下落する可能性すら秘めている。住宅市場、金融市場における不安定要因が継続している以上、経済全般にさらなる損失を引き起こし、成長や雇用問題に発展する可能性がある。
(My administration has been watching our economy carefully. My advisors and many outside experts expect that our economy will continue to grow over the coming year, but at a slower rate than we have enjoyed for the past few years. And there is a risk of a downturn. Continued instability in the housing and financial markets could cause additional harm to our overall economy, and put our growth and job creation in jeopardy. )


ブッシュ大統領イメージと現在景気が後退する危機に直面していることを認めた。そして一刻も早く景気対策を実現するため、議会の協力もよびかけている。

対策については、即効性と大きな影響力のあるものではならないとする一方、長期の財政基盤に影響を与えないよう一時的なものにするべきだとした上で、アメリカのGDPの約1%(1400億ドルから1500億ドル(約15兆円))の規模を占めるものであると説明。同時に「財源を増税に頼ってはいけない」とも断じている。具体的には中小企業向けの税制優遇措置を採ることで雇用創出を後押しし(設備投資の半分程度について税控除が受けられる)、国民の消費に直接影響する所得税の減税措置(10%の所得税を3%前後として、減税される分を前倒しで受け取れる……納税者一人あたり800ドル(約9万円))を実施。そしてこの政策が、設備投資と個人消費の両方をかさ上げし、経済成長にプラスとなるとしている。 また今回の政策は2010年までの時限立法となる。

アメリカ経済の規模からすれば1500億ドルでもどれだけの影響力を及ぼすのかは不明。額そのものはそれこそ「スズメの涙」「焼け石に水」程度のものかもしれない。また、景気が刺激され回復に向かったとしても、現状の景気悪化懸念の要因であるサブプライムローン問題やクレジットカード問題、諸資源の高騰問題の解決にはほどんど寄与しないのはいうまでもない。要は根治療法ではなく、対処療法でしかない。

しかし財源を考慮した上でのものではなく、あくまでも減税に限った案ではあるものの、GDPの1%もの経済対策をほぼ即決に近い形で実施したことは心理的な面で大きなプラス要素となることは間違いない。微調整が行なわれた上で、1月28日の一般教書演説までに詳細を決定し公表する意向とされている。

今後の市場動向もあわせ、詳細な政策発表を待ちたいところだ。

ちなみに日本のGDPは名目で515.2兆円([参照:日経])。この1%というと約5兆1500億円となる。今回発表された減税政策案の大きさが改めて理解できよう。

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