【更新】YOZAN(6830)の決算発表延期情報、正式公開前に公式サイトで閲覧可能状態に

2007年12月10日 06:30

[読売新聞]などが伝えるところによれば、11月30日に中間決算発表の延期を発表した【YOZAN(6830)】において、正式発表時刻より前に同社の公式サイト上から延期に関するリリースが閲覧できる状態であることが明らかになった。正式発表前の重要事項に関する情報の展開は、不公正取引を招く可能性があり、元記事によるとYOZAN側では該当時間にアクセスがあったかどうか調査しているという。

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該当する情報は11月30日に発表された【平成20年3月期中間決算発表の延期に関するお知らせ(PDF)】。YOZANでは当初この日に中間決算の発表を予定していたが、連結対象子会社が4社増えて厳格な監査が求められることなどの理由から、結局当日は「12月14日へ延期する」旨の発表となった。

上場企業における株価に影響を与えうる情報は、東京証券取引所が運営する【適時開示情報閲覧サービス】で不特定多数の投資家に「公開」することが前提となっている。これは投資家への公正平等な情報展開を市場投資の前提とするルールによるもの。

YOZAN側は11月30日のこの「中間決算発表延期に関するお知らせ」を、18時31分に適時開示情報閲覧サービスで公表していた([時開示情報閲覧サービスにおけるリリース、PDF])。ところが本来なら同時刻かそれより後で公開しなければならないYOZANの公式サイト上において、少なくとも17時以降の段階で閲覧できる状態になっていた。この件についてヤフーファイナンスの掲示板では17時4分の時点で該当するURLと共に決算発表が延期になったことを伝える書き込みが確認されている。

YOZANの中間決算発表延期のリリースを正式発表時刻より前に指摘する書き込み(一部マスク処理済)
YOZANの中間決算発表延期のリリースを正式発表時刻より前に指摘する書き込み(一部マスク処理済)

掲示板上の指摘によると、すでに15時35分の時点で閲覧が可能だったのではないかという話もある(未確認)。これは適時開示情報閲覧サービス上に掲載されるファイルがある程度暗号化されているのに対し、YOZAN公式サイト上のファイルは基本的に特定ディレクトリィ内・発表年月日から成る数字のファイル名による、PDFファイルというパターンであることから、「恐らく中間決算発表リリースのファイルはこの名前だろう」と推測した人が確認したところ見つけたものと思われる。

情報を総合すると今回の「ミス」は、該当ファイルを公開予定時刻より先にサーバー上にアップロードし閲覧できる状態にしてしまった、公式サイト運営をYOZANが委託していた業者側の手違いによるもののようだ。トップページなどからのリンクを公式発表時刻の18時31分以降に設定して「公開」するつもりだったが、容易に想像できるファイル名だったことから、結果的に意図していた時刻よりも早く(一部の人に)情報がもれてしまったことになる。

これは俗に言う「報道規制」(時刻)の問題によるもの。記事作成やアップロードの時間を考慮し、企業や官公庁は世間一般に公開されるより前にマスコミなどに発表資料を提供する。そして「報道規制」の解除後、情報が一斉にオープンとなる。

今回の問題は「ファイル名を容易に想定できるようなものにしてしまったこと」「リンク設定さえ規制解除後に行なえば、ファイルそのもののアップロードはそれ以前でもかまわないのではないかとする過信」「ファイル自身の公開時刻設定ミス」などが主な要因として挙げられる。対処法はさほど難しくなく、すぐに対応できることだろう。

今件のような「報道規制解除前に、株価・市場に影響を与えうる情報がもれてしまった」話は、先日も某公的な経済指標がある通信社経由で「誤報」の形で伝えられた事例がある。人が操作する以上、間違いの可能性をゼロにすることは不可能だが、投資判断に重要な影響を与えうる情報である以上、情報発信元となる企業や官公庁、そして「マスコミ」の方々には十分以上に注意してほしいものである。

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