灯油代高騰の影響か、エアコンが暖房機の主役に

2007年12月30日 12:00

エアコンイメージ【エルゴ・ブレインズ(4309)】などが12月21日に発表した調査結果によると、次に買いたい暖房機器としては「エアコン」がもっとも多く支持されていることが明らかになった。「夏も使えるから」という合理的な理由の他に、「燃料費が節約できる」との理由も多く、灯油価格の高騰が暖房機選びにも影響を与えているのが見て取れる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は12月13日から18日の間にインターネット経由で行なわれたもので、サンプル数は948人、男女比は60.2対39.8。年齢構成比は30代がもっとも多く38.0%、次いで40代が28.0%、50代が15.1%など。

最多利用暖房機器は「石油暖房」、特に積雪地帯に多い

関東生まれ・関東育ちの当方(不破)だが、昔は暖房機器といえばメインが石油(灯油)ストーブで、それに加えてこたつ、というパターンだった。それが一人暮らしをはじめてからは「灯油の入れ替えが面倒くさい」「灯油ストーブが(火の問題などで)許可されていない」の理由から使えなくなり、いつの間にか「暖房機器=エアコンとこたつ」のパターンに入れ替わった気がする。

単一回答で「今一番使っている暖房機器は」との問いには、「石油暖房(石油ファンヒーター+石油ストーブ)」がもっとも多く、二つ合わせて4割を超えていた。

■今一番使っている暖房機器は

・石油ファンヒーター……27.5%
・エアコン……19.7%
・石油ストーブ……13.6%
・こたつ……12.1%
・ホットカーペット……7.4%
・電気ストーブ……4.0%
・ガスファンヒーター……3.8%
……etc.


最近になって流行りだしたハロゲンヒーターは2.6%、昔の暖房機器で近頃見直されている湯たんぽにいたっては選択肢にすら入っていない。

ともあれ、特に積雪が多く寒さが厳しい東北・北海道地域において、瞬発力のある暖房性能を持つ燃焼系は人気が高く、昔から容易に手に入れることが出来た石油暖房機器は今でも人気が高いようだ。

「寒さが厳しい東北・北海道地域」と限定できたのは、事由が明らかであるのに加え、次の調査結果が出ているから。エリア別のデータを見てみると、「北エリア」と区分している地域では石油暖房機器の回答数が突出しているのが分かる。

今一番使っている暖房機器は(エリア別)
今一番使っている暖房機器は(エリア別)

下手をすると命取りにすらなりかねない急速暖房性能の有無。石油暖房機器の普及振りを説明する理由はこれが一番だろう。

石油価格高騰と「夏も使える」……エアコンへの人気高まる

現在利用しているものは別として、次に買うとしたらどのような暖房機器を買いたいか、との問いには「エアコン」がトップに立ち、次いで「オイルヒーター」「ハロゲンヒーター」など電気を用いた暖房機器が上位に並んだ。

■次に買いたい暖房機器

・エアコン……18.1%
・オイルヒーター……16.9%
・ハロゲンヒーター……14.5%
・ホットカーペット……13.9%
・石油ファンヒーター……10.5%
・こたつ……9.6%
・ガスファンヒーター……7.1%
……etc.
(その他……15.6%)


多少恣意的な質問の気がするが、さらに「石油価格が高騰している中、今後エアコンを購入したいか?」という問いには「購入したい」が1割強、「検討したい」が4割を超えていた。

■今後エアコンを購入したいか

・購入したい……12.6%
・検討したい……40.7%
・購入も検討もしない……46.7%


石油系暖房機器と比べると加熱スピードが今ひとつな、電気系暖房機器の代表格であるエアコン。そのエアコンに興味関心がある人が約半数を占めている。「まったく興味すら無い」が半数近い、とも解釈できるが、ハロゲンヒーターやオイルヒーター、ホットカーペットではなくあえて「エアコン」という単一ターゲットで過半数の興味を引きつけているのは注目に値する。

しかし「エアコン」に興味関心を持つ人にその理由を尋ねてみると、合理的な考えが潜んでいる一方、灯油代の高騰が影を落としていることが分かる。

■エアコンを選んだ・検討した理由

・夏も使える……45.0%
・今あるエアコンが古くなったから……32.7%
・燃料費が節約できる……27.5%
・燃料補給の手間がかからない……27.1%
・空気が汚れないから……23.0%
・他の部屋にもほしくなった……22.0%
・収納場所がいらない……15.2%
・部屋全体が温まる……13.5%


元々エアコンを使っている人の回答「今あるエアコンが古くなったから」をのぞけば、「夏も使える」という合理的な考えによるものがトップで、(恐らく大多数は現在石油系暖房機器を使っていてそれと比べれば)「燃料費が節約できる」の回答がそれに続いている。

45.0%の人は冬しか使えないストーブなどと違い、夏には冷房機器としても利用できるエアコンに合理性を感じたのだろう。一方、27.5%の「燃料費が節約できる」には、灯油代高騰という切実な問題をうかがい知ることができる。またそれ以外に「燃料補給の手間」「空気が汚れない(=換気にあまり気を使わずに済む)」「部屋全体が温まる(換気とも深い関係)」「収納場所がいらない」など、石油系暖房機器の弱点を指摘するような意見が相次いでいるのが分かる。

これもエリア別に回答分布を見てみると、当然のごとく「北エリア」では「燃料費の節約」が他地域から突出している。

エアコンを選んだ・検討した理由(エリア別)
エアコンを選んだ・検討した理由(エリア別)

今後電気料金の価格が上昇する可能性は否定できない。それでも急騰する石油(灯油)価格を目の当たりにすれば、「少なくとも灯油よりは安上がりになるだろう」という、現実問題と直面した上での結論を見ることができる。


石油製品が隅々まで浸透している現在において、石油(原油)価格の急騰はさまざまな方面で急速な変化をもたらす結果を導いている。物価の上昇は一次的現象だが、今回の調査結果のように「暖房機器の普及分布」など、二次的現象へのきっかけもあちこちで引き起こしているのだろう。

今後仮に石油高騰が収まったとして、暖房機器のニーズにどのような変化が訪れるのか、それとも一度変わり始めた流れは元に戻らないのか。もしエアコンの普及率を押し上げることになれば、今度は冬季だけでなく夏季における電気需要量の拡大や、エアコンの新機種開発競争の激化も現象として見られることだろう。このような変化がおきるのかどうか、長い目で見ていきたいところだ。

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