ジャスダック、ヘラクレスとの統合の道へ

2007年12月27日 19:30

株式イメージ【日本証券業協会】は12月27日、新興株式市場の再編問題について、大株主の立場から傘下におさめている【ジャスダック証券取引所】の株式を【大阪証券取引所(8697)】(大証)に売却する交渉を始める方針を正式に決め、「新興市場全体の発展を目指し魅力ある市場を創ることが特別委員会の真意である」とコメントした。これについて大証側では「効率的で信頼される市場創りの観点から対応したい」とし、基本的に合意する意志を明らかにしている。

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【取引低迷でジャスダックに再編案提示】【ジャスダックは「単独自主再建」の意向・タイムリミットは一か月】などでも解説しているが、現在ジャスダックの72.6%の株式を保有する日証協では、タイムリミットとして設定された1か月が過ぎた本日27日、加盟証券会社社長らで構成される特別委員会を開き、最終的な方針を討議。すでに【東京証券取引所】からは「マザーズ」絡みでの統合案について否定的な意見が出されていることや、不採算状態にあるジャスダック単独での存続は難しいなどで意見が一致。残る選択肢である「ヘラクレスとジャスダックを統合する」案が最終了承された。

具体的には「ヘラクレスをジャスダックと統合」「ジャスダックは東京においたまま市場統合」「ジャスダックの社長ら経営陣は続投」などが決定されたという。

「本日開催された日本証券業協会特別委員会の総意を受け、大阪証券取引所との間でジャスダック取引所株式の売却についての協議を進めることになった」との日証協会長のコメントに対し大証では【本日の日本証券業協会会長コメントについて(PDF)】との名でリリースを発し、

「本件に関しましては、同委員会で十分に審議された結果と受け止めております。今後当社は、その間の状況等を十分にお伺いした上で、効率的で信頼される市場創りの観点から対応してまいりたいと考えております」


として、基本的に合意する旨の見解を伝えている。

一方ジャスダック側ではこれまで単独存続を強く主張してきたこともあり、本日対応する形で出されたコメント(【本日の日本証券業協会会長コメントについて(PDF)】)でも

「日証協会長の『新興市場全体の発展を目指し魅力ある市場を創ることが特別委員会の真意である』との意向を受け、最大限の努力をしてまいりたいと考えております」


とし、「努力はする(が意向にそえる対応をするかどうかは条件次第)」と読める、微妙な反応を示している。

現在のところ今後のスケジュールは未定だが、すでに明日が大納会ということもあり、具体的な動きを見せるのは来年以降になるだろう。ただし細部条件において日証協・ジャスダック・大証間で条件提示や駆け引きなどが行なわれるのは必至で、今後統合案そのものも含め詳細が色々と変化する可能性は高い。

12月27日現在、ジャスダックの上場会社数は979社、時価総額は約13兆4400億円。それに対してヘラクレスは上場会社数173社、時価総額は約1兆7300億円程度に過ぎない(ちなみにマザーズは11月末時点で197社、3兆4900億円。現在ではもう少し目減りしているはず)。東証が上場手続きを進めてますます一極集中化が懸念される中、ヘラクレスがジャスダックを取り込む形で統合できれば「小が大を飲み込む」形となり、新たな勢力分布が形成されることになる。

上場企業の業界再編が相次ぐ中、今度は証券取引所においても再編が加速しそうである。

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