「関東以南でリンゴが採れない」「日本近海でサンマ収穫が出来ない」地球温暖化の影響を予想

2007年12月25日 06:30

地球温暖化イメージ農林水産省は12月21日、地球温暖化現象が日本の農林水産業に及ぼす影響の将来予想や適応策、緩和策について取りまとめた「地球温暖化が農林水産業に与える影響と対策 No.23」を公開した。いくつかのシナリオを想定し、それぞれの温度上昇パターンにおける農林水産業が受ける影響と、その変化に対する対応策などが記載されている。50年から100年の規模での未来について語られているが、中には「100年後に水温上昇によりサンマが日本近海でほとんど採れなくなる」「50年後にはリンゴが関東以南でほぼ採れなくなる(と共に北海道のほぼ全域が適用地になる)」など、驚くべき予想も語られている(【発表ページ】)。

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農林水産省では定期的に各種研究分野のレポートを公開している。上記参照ページにもあるように、海洋生態系と水産資源に関するものや、野生動物による農林業の被害を防ぐ技術など、興味深い研究結果が数多く提示されている。今回公開された資料もその一つで、二酸化炭素量の増加による地球環境問題やバイオエタノールなどと関連して話題にのぼることの多い(というよりそれらが行きつく先の根本的な問題である)「地球温暖化現象」と、日本の農林水産業との関係についてである。

レポートでは各種研究結果から将来おきうる温暖化現象の推測と共に、現状ですでに見られている温暖化に伴う農作物などの変化の報告、そして推測値の中で実際に温度が上昇した場合、日本の農林水産業がどのような影響を受けるか、そしてその対応策や緩和策はどのような手立てが考えられるのかについて語られている。

気温上昇予想については、各種シナリオによって大きな違いがあるが、2090年から2099年の21世紀末には世界平均で1.1度から6.4度の幅の中で上昇すると見られている。環境の保全と経済の発展を地球規模で両立する「持続的発展型社会シナリオ」を選択できれば最高でも平均1.8度・最高2.9度で済むが温度上昇の面で最悪のシナリオ「高成長型社会シナリオ」が選択された場合には平均4.0度・最高で6.4度の上昇が予想されている。

具体的な「起き得る」影響についてはレポートを確認してほしいが、かいつまんで箇条書きにすると次の通りになる。

・稲作は北海道で収穫量が13%増加、東北以南では8~15%減少。
・リンゴ栽培地は北海道全域が適地になるが、関東以南ではほぼ採れなくなる。
・温州みかんの栽培適地が拡大する。
・肉用ニワトリの産肉量は西日本で低下。15%以上減るところも出る。
(以上、2060年に3度上昇するシナリオ)
・ブナの生育地は2081年から2100年に3度上昇するシナリオでは現在の4割に減少、5度上昇では1割にまで減少。
・サンマの漁場は100年後には水温上昇で日本近海ではほぼ無くなる。


リンゴ栽培の適地の変化。北海道がほぼ全域に納まると共に、関東以南では「現状のままでは」ほぼ採れなくなるとの予想。
リンゴ栽培の適地の変化。北海道がほぼ全域に納まると共に、関東以南では「現状のままでは」ほぼ採れなくなるとの予想。
お米の潜在的収穫量の変化。北海道はともかく東北以南で押し並べて収穫予想量が減少しているのが、色の変化で分かる。
お米の潜在的収穫量の変化。北海道はともかく東北以南で押し並べて収穫予想量が減少しているのが、色の変化で分かる。

これらの「起き得る影響」、及びすでに現在進行形で発生している温暖化現象の影響を受けている農作物の被害(例えばブドウの着色不順やナスの結実不良)に対して、品種改良や栽培方法の変更、栽培種の変更、さらに(他の方面からも要請があるが)地球温暖化を緩和するための方策が提起され、実践しているとの報告がレポート上で行なわれている。

高温での花粉不稔によるナスの結実不良
高温の影響で実がうまく成らない
ナスの様子

レポートでは「いずれにせよ私たちは、今後、過去100年間に経験した上昇幅よりもかなり大きな気温上昇を経験することになりそうです」とした上で、「ある程度以上の温暖化が進めば、全ての地域で、温暖化による好影響よりも悪影響のほうが大きくなると考えられています」としている。

その上で、「例えば二酸化炭素の増加により光合成が有利になるので収穫量が増加するなど、複合的な要素が複雑に絡み合っているし、想定が出来ない事態も十分にありうるので一概にこれらの予想が正しいとは断言できない(予測結果には不確実性があることには気をつけるべき)」と説明している。その上で「今わかっていることから判断すると、将来はこんなことが起こりそうだ、という情報を発信することが重要である」と結論付けている。

占い師や預言者でも無い限り、未来のことを的確に当てる人など誰もいない。しかし現状をしっかりと認識してデータをまとめ上げ、その上で予想を立てることでその的中率を高めるのは不可能ではない。そしてその予想結果が自分たち自身や将来の人たちに思わしくないものであれば、それを避けるなり緩和させるなりする手を打つ事は十分に可能である。人間が知恵を有し、過去に学び、未来をおもんばかる能力のある知的生物であるのなら、それくらい出来て当然のはず。

少なくとも「もう何をやっても駄目だ」とあきらめたり、「どの道自分が生きている間は大丈夫さ」といわゆる「勝ち逃げ」的な考えをするのは、人として失格ではないかと思われるのだが、どうだろうか。

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