緑茶が進行性前立腺がんの発症を低める可能性・厚生労働省研究班発表

2007年12月20日 08:00

お茶イメージ厚生労働省研究班は12月19日、緑茶の飲用と進行性の前立腺がんの関係性の調査結果を発表した。それによると一日に5杯以上緑茶を飲む男性は、1杯未満しか飲まない人に比べ、進行前立腺がんのリスクが約半分に抑えられたことが明らかになった(【発表リリース】)。

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今調査は国立がんセンターを中心とする厚生労働省研究班によるもので、全国10の地域において、研究開始当時の1990年・1993年に40歳から69歳だった男性約5万人を対象に2004年までの約10年間追跡調査を行なった上でまとめられた。

その結果、調査期間中に404人に前立腺がんの発生が確認。うち114人は前立腺がんを超えて他の臓器にまで広がっている進行性のもので、一方271人は前立腺内に留まる限局性の前立腺がんだった(差し引き19人はどちらに該当するか不明)。

これら発症患者について傾向を調べたところ、緑茶の飲用そのものと前立腺がん全体には関連性が見られなかった。しかし進行性・限局性で区分してみると、緑茶をよく飲むグループほど、進行前立腺がんのリスクが低く、特に1日5杯以上のグループでは1杯未満の約半分という結果が出た。一方で限局前立腺がんと緑茶の関係も認められなかった。

緑茶飲用と前立腺がんリスク
緑茶飲用と前立腺がんリスク

「1~2杯」のところで逆にリスクが増加しているのが気になるが、恐らくこれは誤差の範囲、ということなのだろう。

レポートでは緑茶と前立腺がんとの関係について、元々緑茶が多く含んでいるカテキンが、細胞増殖をおさえることで発がん抑制効果があること、前立腺がんの危険因子候補の一つである男性ホルモンのテストステロンレベルを下げるなどの効果があることなどが、今回明らかになった結果の原因ではないかとしている。さらにカテキンについてはしゅようの広がりをおさえ、転移の時に多く現れる物質を抑制する効果が実験研究で報告されていることもその理由として加えている。

ただし今研究では進行性前立腺がんの症例数そのものが少なく、さらなる研究が必要だと研究所側では述べている(「健康意識が高い」「緑茶を多く飲む」「検診をまめに受ける」「進行を止める」という連鎖の可能性もある)。

「調査検証数が少ないから誤差の範囲かもしれない」ということならば、緑茶そのものの前立腺がん全体に対する飲用杯数との関係も似たような結果が出ている(1杯未満を1とした場合、5杯以上は0.89と1割強のリスク減)。統計データからの推計研究は時間もかかるし、病症については実際に発症した人の数が揃わないと「ぶれ」が生じる可能性もあり、なかなか確度の高い研究結果として断定しにくいのが難点。

とはいえ、「緑茶のカテキンが前立腺がんに効力がある」という可能性が提示されたのも事実。愛飲する飲用水の候補に緑茶を加えるきっかけにはなるだろう。

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