来年春先小麦が再度大幅値上げ!?

2007年12月20日 08:00

麦イメージ【朝日新聞】が観測記事として伝えるところによると、政府が製粉会社に売り渡す際の小麦価格が来年4月の改定時、現状より大幅に値上げされることが確実となった。価格設定の上で参考にされる国際的な小麦の取引価格が高騰しているためで、20~30%の値上げは避けられないとしている。10月に行なわれた「大幅」値上げでは10%の値上げとなり、小麦を原材料としている食品メーカー、さらには小麦加工品を材料にしている二次加工食品品メーカーが次々と価格の値上げを行なっていた。来春に再びおおもとの小麦価格が上昇すれば、再度価格の引き上げにつながる可能性は高い。

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【パンやうどんなどの値上げも?~輸入小麦の政府卸売価格、10月から10%引き上げ】で詳しく説明しているが、輸入麦の大部分は食品の安定的な国内供給を確保するため、政府が商社を経由して輸入し、その上で企業に一定の価格で売り渡すという、農協におけるお米の売買と似たような仕組みを採用している。【輸入麦の価格ルール変更でパンやうどん、焼酎などの値段に影響か】でもお伝えしたように、これまで年間固定制だった売り渡し価格は2007年から年3回(当面は年2回)の変動が行なわれる。10月にはこのルールに従い10%の引き上げが行なわれ、これがきっかけで小麦を使う各種食品が続々と値上げすることになった。

「国際的な小麦の取引価格」の代表格であり、農林水産省側も指標としているという【アメリカ・シカゴ商品取引所】の小麦価格は昨年ごろから上昇を続け、1ブッシェル(27キログラムほど)の価格が5ドル前後だったものの最近では9ドル強にまで上昇。12月17日には過去最高額の10ドル台を記録している。

シカゴ取引所における今年後半の小麦価格の変移
シカゴ取引所における今年後半の小麦価格の変移(【フジフューチャーズ】から)。この半年で2倍近くに跳ね上がっているのが分かる。

この価格上昇は主要産地のオーストラリアだけでなくアルゼンチンでも干ばつの懸念があり、さらに新興国の需要拡大、バイオエタノール精製用のとうもろこし畑への転作による面積減、そして原油同様に投機資金が流入していることが原因。アメリカではすでにケロッグなど有名どころの食品メーカーが、日本同様に値上げを余儀なくされている。

小麦価格(→食料品)の
来春再値上げ見通し三大原因
(1)バイオエタノール
(2)新興国の需要増
(3)投機資金の流入

日本国内において政府の売り渡し価格が改正されるのは来年4月。これは今年の6月から来年1月の取引価格が主に反映される。今後来年1月までに小麦価格が急落しない限り、冒頭に挙げたように20~30%の値上げは避けられない見通し。

今秋から冬にかけ続々と食料品の値上げが発表されたが、その主な原因は「原油価格の高騰」「人件費の上昇」そして「小麦価格の上昇」の3点。人件費はともかく、原油価格と小麦価格の上昇は、これまた「バイオエタノール」「新興国の需要増」「投機資金の流入」という3点が原因となっている。「バイオエタノール」はともかく後者2つは完全な外部的要因で手が打てないだけに、小麦価格の上昇にも事実上お手上げの状態。

来年春以降、今年の秋のように「食料品の値上げ告知」のラッシュが行なわれるであろうことは想像するに難くない。

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