厚生労働省が新型インフルエンザに備え感染症法・検疫法の改正を提言

2007年12月05日 06:30

新型インフルエンザイメージ厚生労働省の厚生科学審議会感染症分科会は11月29日、第32回となる会合を開き、新型インフルエンザの発生にそなえて感染症法と検疫法を改正し、新型インフルエンザに関する項目を新設するべきであるという報告をとりまとめた。患者を隔離するだけでなく、感染の恐れのある人への停留(外出自粛)措置や、検疫で感染の恐れがある人が多数発生した場合には、医療機関以外の施設でも宿泊させることを求めている。これらの提案内容について報告書では「早期のまん延防止策の実施が重要。発生直後から対策が実施できるようあらかじめ法整備を行なうことが必要」と説明している。未発生の感染症を法律に盛り込むのは初めての試みで、厚生労働省では来年の通常国会にこの改正案を提出する予定(【発表資料ページ】)。

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いわゆる新型インフルエンザとは、鳥が感染する鳥インフルエンザ(H5N1型など)が鳥から人に、そして人から人に感染するタイプに進化発生しうるもの。元々鳥インフルエンザの致死率が高いことや感染力が強いこと、そして仮に人間に対応する形に変移した場合、その時点では「新たに誕生した型」であるため、人間には免疫が存在せずワクチンも無く、爆発的な感染(パンデミック)が推定されることから、各国の政府機関や関連官庁が警戒と監視、準備対策に追われている。

現行法の問題点
1.2008年6月11日で期限切れ
2.H5N1型からの変異体のみ想定

現行法ではH5N1型の鳥インフルエンザが新型インフルエンザになった場合に限り、感染症法・検疫法における指定感染症に認定され、入院措置など法的拘束力のある手段を取ることができた。しかしこの法律は時限立法であるため2008年6月11日で失効する。またH5N1型以外の鳥インフルエンザから新型インフルエンザが発現した場合、これらの法律は適用されず法的根拠のもとで各種措置がとれないという問題があった。

そこで今回の提言では

・H5N1型インフルエンザに対する2法の適用を2008年6月以降も継続する
・H5N1型も含めた新型インフルエンザすべてについて、検疫法・感染症法上に新しい項目を設けて、検疫などの対策を定める


の2点を求めている。特に後者については「発生してから法を作ったでは間に合わないので、発生直後から対策実施ができるよう法律を整える必要がある(意訳)」と説明している。

対策としては例えば、

・感染の恐れかある者を医療機関以外の施設でも強制的に宿泊させることができる(現行法では医療機関のみ。対象者が多くなった場合に対応しきれなくなることに備える)
・国内で新型インフルエンザが発生した場合、都道府県知事が外出自粛や健康診断の受診、予防のための薬の服用実施、場合によっては「地域封じ込め」も要請できるようにする。
・検疫所長と都道府県知事の連携を強化し、新型インフルエンザの発生国からの入国者が健康状態に問題があった時には通知するなどの連絡を行なうようにする。
・航空会社などに対する検疫の協力要請規程を整備する。


などが挙げられている。

今提案においては、都道府県知事の要請があくまでも「要請」であり、罰則などによる義務付けは行なわれないことなど、万一の際の「実行力」に疑問符を投げかけざるを得ない面もある(「要請」で従わない場合には検疫法・感染症法を適用すればよいだけの話なのだが……)。

しかし未発生の感染症対策を法に盛り込む(考えてみれば当たり前だが)これまでなされてこなかったことを実施しようとする考えは高く評価すべきであり、早期の実現が望まれる。特に現行法が来年6月には期限切れを迎えるため、それまでに手続きを済ませて施行させないと、万一の時に法的根拠に基づいた対応が十分にとれない可能性が生じてくる(超法的措置は日本が法治国家である以上、最初から想定すべきではない)。

意味も無い政争で国会審議が遅れ、この法案のような「国民の生命に関わる重要法案」が先延ばしになったり、廃案に追い込まれることのないよう、各議員先生には配慮を願いたいところである。

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