NHKと三菱が再撮した映像でも検出できる電子透かし技術を開発

2007年12月09日 12:00

映画イメージNHKと【三菱電機(6503)】は12月6日、テレビ画面や映画のスクリーンに表示された映像をビデオカメラなどで撮影(再撮)したデータでも、その映像を撮った場所や時刻などを特定できる「電子透かし」を開発したと発表した。この技術を活用することにより、テレビ画面や映画スクリーンをコッソリと撮影して制作されている海賊版ビデオの流通に、抑制効果を与えるのではないかと期待されている(【発表リリース、PDF】)。

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「電子透かし」とは、映像などの信号を人間の目で判断できないレベルで変化されることにより、その映像を特定できる情報(放送した場所や時間、その他のデータ)を埋め込む技術。従来はアナログ・デジタルコピーによる、許諾されていない複製を防止するために開発されてきた。

しかし最近ではカメラが小型・高性能化するに伴い、テレビや映画を無許可で再撮してデータを作り、高品質の不正規版を国内外で不当販売する事例が増えている。そこで今回「再撮耐性」を持つ「電子透かし」技術が開発された。

これは従来の「電子透かし」技術のような、直接デジタルコピーをしないと情報が損なわれてしまうものではなく、テレビやスクリーンに映し出されたものを「アナログ機器で」再録しても、透かし情報が損なわれずに検出可能となるもの。さらに真正面ではなく斜めから撮影したり、映像の一部が欠けていても検出ができるという(もちろんこれまでのように専用機器によるコピーでも検出可能)。

今回発表された「電子透かし」活用の事例
今回発表された「電子透かし」活用の事例

どのように「斜めで撮影しても検出できる」透かしを作れるのか、非常に興味深い話ではあるが、具体的な仕組みなどについてリリースでは一切語られていない。これはその仕組みを公開してしまうとそれを避ける技術が作られてしまい、悪用される可能性を考慮してだと思われる。残念だが、仕方あるまい。

また、リリースの説明や図解を見る限り、今回の新技術「電子透かし」では不正コピーそのものを防ぐのではない。撮影されかねない(脇の甘い)映画館などに対して、再発の防止を啓発するのが主な効用となる。再録している人物をその場でお縄、というわけではないのである。もっとも常習的に繰り返す傾向があるから、警告を発した上で取り締まりを強化すれば、あるいは捕まえられるかもしれないが……。

また、リリース中で説明されていた「(自宅の)大型スクリーンテレビを用いた再録」では、仮に撮影した元版が分かってもどの場所で再生したかまでは追跡できず、取り締まり網でのチェックはかなわないことになる(あるいは他に「仕組み」があり、公表されてないだけなのかもしれない)。

気になるのがリリース最後に記載されていたこの一文。

将来、本技術のデジタル放送やネット配信ビデオを表示するディスプレイへの導入が行われれば、幅広い映像の著作権保護への適用が期待できます。


これは例えば、地デジ対応のテレビに技術を導入することで、そのテレビから出力される映像にはテレビ個体(やその他データ)を特定するデータを盛り込ませることが出来る、ということだろうか。テレビからの再録を防ぐにはベストには違いないが、いつの間にかプライベートに近い情報が暗号化され発せられているという状況は、あまり気持ちの良いものではないのかもしれない(再録をしなければ良いだけの話ではあるが)。

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