「相場急変! 」対応策を持たないFX業者、11%も・金融庁調査結果

2007年12月08日 12:00

株式イメージ金融庁は12月7日、外国為替証拠金取引を行う金融商品取引業者(以下FX業者)に対するリスク管理などの状況調査結果概要を発表した。それによると、先の8月17日前後のように為替相場が急変した際に自己勘定取引やお客の注文受付を中断するなどの対応策を講じている業者は89%に達していることが明らかになった。逆に「対応策が無い」と回答した業者も11%いることが分かった(【発表リリース】)。

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今調査結果は金融庁監督局証券課がFX業者126社を対象に質問票を送付し、得た回答を元に分析したもの。具体的な調査日時や対象層の分布は公開されていない。質問の内容から見て、相場急変が見られた8月より後に行なわれたものと思われる。

保証金区分のあいまいさ

【エフエックス札幌、破産手続き開始・北海道財務局は行政処分を発動】などにもあるように、8月の為替相場急変をきっかけにFX業者が相次いで破たんした理由の一つに「お客からの保証金と業者自身の財産がしっかりと区分されていなかった」というものがある。要は業者の取引のミスによる損失をお客(の資産)が被ってしまった形。

FX業者においてはお客が預けた保証金と業者自身の財産は、預金口座・金銭信託、カバー取引先(他の業者など)への預託などのいずれかの区分で管理されている。カバー取引先への預託の場合、その取引でお客・業者口座が分けて管理されている場合もあれば、同一の口座でごちゃごちゃになっている場合もある。

後者の場合、帳簿などで適切に管理されていないと、今回のエフエックス札幌の事例のように「万が一」の際にお客までもが割を食う可能性がある。要はFX業者が破たんした場合、保証金が返ってこない可能性があるということ。

今回の金融庁の調査によれば、区分管理方法に対する調査結果は次の通りとなった。複数の管理方法を用いているので合計は100%を超える。

■区分管理の状況
・預金口座……76%
・金銭信託……50%
・カバー取引先への預託……68%
  口座を分けて管理……27%
  同一の口座で管理……41%


「同一口座で管理」の業者に「しっかりと帳簿などで区分していますか」という問いはされていない。そのような質問をしても「していない」と答える業者などいないからだ。とはいえ、実際には管理をせず、急務の際に対応できずに「とんでしまう」ところが相次いだわけで、善処が求められる。

相場急変の際のリスク管理、行なっている業者は89%

為替相場が急変した場合の対応策として、自己勘定取引を停止したり、カバー取引先との取引が出来ない場合にはお客からの注文を止めるなどのルールを定めている業者と、定めていない業者がある。後者の場合、8月中旬や昨今のように為替相場が大きく動いた際に業者に損失が発生する可能性がある。

■相場急変への対応策
・あり……89%
・なし……11%


どの程度の対応策を講じているかまでは問い合わせていないが、ともあれ「策がある」と答えた業者は9割近くにも登った。逆に11%の業者は「策はない」と答えている。126社のうち約14社もの業者が「相場が急変しても対応策はない(から、大規模な損失を受ける可能性はある)」ということになる。


インターネットによる取引が気軽に行なえるようになったこと、一般大衆誌がしきりにFXを勧めていること、さらに株式市場の低迷や「怪しげな値動き」が相次いでいることから株式投資に見切りをつけるなどで、FXの世界に足を踏み入れる人が増えている。

その一方、滅多に起きないと言われていた為替相場の変動が今年後半に入ってから相次いで発生し、慣れないFX投資家(投機家)やFX業者までもが大きな損失をこうむり、(業者の場合は顧客を巻き込んで)退場させられるような事態が発生している。

投資家においては、相場に対する最低限のルール・暗黙の了解を再確認すると共に、何があってもしっかりと誠実に対応してくれる、安心して証拠金を預けることができる業者を選ぶことが、何より大事といえよう。多少手数料が安い、あるいは便利そうに見えるだけで、万が一の時に自分の財産が失われてしまうリスクを背負うのは、あまりにも無謀というものだ。

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