景況感指数、日本は48か国中46位

2007年12月29日 12:00

株式イメージ調査会社のニールセンは12月27日、世界の景況感調査の結果の一部を発表した。それによると、調査対象となった48市場(か国)のうち半数近い21市場において消費意欲が減退していることが明らかになった。また、「消費者の4分の1以上が2008年度の世界経済に後退感を感じている」としている。この調査結果についてニールセン側では「世界経済のけん引役であるアメリカが経済環境において好ましくない状況におかれているため、他の国々の経済にも影響を及ぼしている」とコメントしている(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は対象48市場の2万6312人のインターネット利用者を対象に10月から11月に実施されている。具体的な人数分布など詳細は非公開。また、文中で上げられている「(ニールセン景況感)指数」とは、100を基準にし、それ以下では「景気が悪い(悪くなる)」それ以上では「景気が良い(よくなる)」を表している。もちろん100からの差が大きいほど、その度合も大きい。具体的な算出方法は公開されていないが、雇用市場、家計、消費動向での景況感に基づき算出されるとの説明がある。

2007年11月度主要国ニールセン景況感指数
2007年11月度主要国ニールセン景況感指数

この調査結果から分かることは次の通り。

・48か国中21カ国は景気感(=消費意欲)が低下している(100未満を示している)
・全体的ではヨーロッパ地域が消極的な結果
・アジア地域では韓国が最下位で48位、ついで日本の46位、台湾45位と続いており、この三か国では来年も景気後退が続くと多くの人が考えている。
・一方同じくアジア地域ではインドが最高位で2位、インドネシアが4位、オーストラリアが5位、香港が6位、ベトナムが6位など景気感が特に高い国が多い。これらの国の好況感は中国やベトナムなどの高度経済成長に支えられているようだ。


また表上にはないが、一部の具体的データがレポート上には掲載されており、興味深い内容も見受けられる。それらの中から主に経済面について抽出してみると、次のようになる。

・2005年以降世界の景気感指数は減少傾向にある(2006年5月:指数99、2007年5月:指数97、2007年下期:指数94、そして今回2007年11月は前回と同じく94)
・香港とインドでは6割以上の人が「来年は消費が活発になる」と考えている。
・日本や韓国では8割の人が「今は欲しい物を買う時期ではない」と考えている。
・世界全体では13%の人が「必要最小限の生活費を賄うだけで、余裕がない」と考え、2/3近い人が「今は欲しい物を買う時期ではない」と思っている。
・前回調査(半年前)と比べて過半数の26市場において、消費動向が継続して減少している。
・「経済不安」を感じる国のトップ10のうち7か国がアジア地域。トップは台湾の74%、中国が71%と続く。日本は11位で41%だが、前回より11ポイント増加している。


経済成長が爆走機関車の如くであるように報じられている中国ではあるが、景気感指数はむしろ基準値の100以下という結果が出ている。表を見た限りでは「?」マークが頭に浮かぶが、この具体的データに目を通すと「中国内部では景気の過熱感からか、将来の自国経済の動向に不安を感じている人が増えている」ことが分かる。

一方、インドや香港、ベトナムなどでは「来年も経済的に躍進を続け景気も良くなるだろう」という楽観視をしている人が多いことも読み取れる。もっともこれらの国の好景気も自国だけで成り立っているわけではないので、周囲の大国の景気が急速に悪化すれば、その「好景気感」も減少する(結果となる現実が待っている)可能性は否定できない。

今の日本は「経済の'病'」
「病は気から」の言葉通り
「気」を良くする必要が。
そのためにもさまざまな
国内経済環境の整備が
必要不可欠。

何より気になるのは、日本の景況感指数が世界平均94に比して半分強ほどの59しかないこと。雇用市場や家計、消費動向での景況感などの点において、多数の人が「景気が悪い」と考えていることになる。一言で例えると「日本人は『景気がすげー悪い、今後も悪くなるだろうなぁ、トホホ』と多くの人が考えている」というあたりだろうか。

「気の持ちようで景気感などどうにでもなる」という考え方もあるが、物価は上がる、負債は増える、給金は上がらないなどの現実問題を目の当たりにすれば、どうしても気分もそれらに反映されてしまうと言うもの。

身のまわりの状況からネガティブな発想を持ってしまい、消費を抑えざるを得なくなり、それがさらに消費行動、しいては景気を悪化させるという悪循環に陥っている感も否めない。しかしそれ以上に、物価の高騰をはじめとした現実が畳み掛けるように景気感を悪化させてしまうのが現状といえる。

資源不足や投機ファンドの介入による物価上昇への対策は別問題としても、雇用や給金、社会全般への信頼や将来の展望を改善する施策、国内経済強化を最優先にするため海外への「無駄なばらまき」の予算を融通するなど「景気感を抑える要素を取り除き、未来に希望が持てる方策」はいくらでも打てるはず。それらの対策を施し、先行きに明るさが見えてくれば、景気感も改善され、消費も促進され、現状とは逆の「ポジティブスパイラル」な現象が生まれるに違いない。

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