年金運用、第2四半期は1.6兆円の赤字・サブプライム問題の影響色濃く

2007年12月06日 08:00

株式イメージ年金支払金の原資を増やす目的で国民年金や厚生年金の積立金を市場で運用する【年金積立金管理運用独立行政法人】は12月5日、2007年度第2四半期(7~9月期)の運用状況を発表した。それによると手数料などを差し引く前の収益「総合収益額」が1兆6328億円の赤字であることが明らかになった。株価下落や為替レートの大幅な円高がマイナスに作用した(【発表リリース、PDF】)。

スポンサードリンク

年金の運用はその性格上長期的な視点から状況を判断する必要があるが、額の大きさや市場に与える影響度などを考慮し、四半期毎に運用状況の公表が行なわれている。今回発表された2007年度第2四半期データは次の通り。

・運用資産額……91兆2787億円※
・総合収益額……1兆6328億円の赤字(年度通算は7424億円の黒字)
・修正総合収益率……-1.80%(年度通算は+0.85%)

※資産額比率は国内債券54.39%、国内株式19.97%、外国債券10.46%、外国株式14.88%など。


四半期単位での運用状況が赤字に転じたのは、2006年第1四半期の2兆0032億円の赤字以来1年半ぶりのこと。リリースでは今四半期の運用状況がマイナスに転じた理由として、

・サブプライムローン問題による間接的影響
・債券市場では安定資産のニーズの高まりによる利回り低下(債券価格の上昇)
・株式市場では景気先行きと信用不安感から株価の大きな下落
・為替ではドル安の進行


などを挙げている。個別データを見ても、国内債券・株式では市場平均通りかややプラスの収益を挙げられたものの、外国債券はともかく外国株式において目標以下の収益率となっていることが分かる(とはいえ金額的には国内株式の収益額はマイナス1.6兆円と大きくマイナスを記録しているのだが……)。また、円高が大きく進展したため、外国債券も収益率ではマイナスとなってしまっている。

気になるサブプライムローンとの関係だが、今回の大幅なマイナスはあくまでも市場全体の値動きによる間接的なもの。サブプライムローンそのものを証券化した金融商品は確認されておらず、今後直接的にさらなる含み損が増えるという大手金融機関のような懸念はない。

市場環境は厳しいが、年金運用はあくまでも長期的な視点で行なうべきであり、しばらくは市場そのものの動向に左右されるような結果が出たとしても、後から見てみれば「あの時安い値で拾うことが出来て大きく利ざやを稼げた」ということになるのだろう。個人投資家もその戦略(と資金力)にあやかりたいものだ。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

スポンサードリンク



 


 
(C)JGNN||このサイトについて|サイトマップ|お問い合わせ