朝顔で地球温暖化対策をした市役所

2007年11月19日 06:30

朝顔イメージ福岡県福岡市では市役所の本庁舎など5か所の建物に朝顔をつたわせ、室内温度を下げる実験「明後日(あさって)朝顔プロジェクト」を行なった。結果として室内温度が1.4度から2.7度ほど低く抑えられたとして有効に「朝顔のカーテン効果」が働いたことを報告している(【発表リリース】)。

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この実験は「朝顔のカーテン」として地球温暖化対策だけでなく都市景観の向上を目的としたもの。市役所本庁舎西側壁面(2階~14階)、城南区役所、早良区役所、環境局西南部事業所、環境局保健環境研究所の5か所に朝顔をつたわせた。壁面緑化面積は約1300平方メートル、用いた朝顔の総株数は約3500株。

本庁舎では次のような効果が確認できたという。

・室内温度低減
 8月の休日(空調非稼働日)に室内温度測定をしたところ、1.4~2.7度の温度低減を確認
・冷房運転日の削減効果
 前年度との比較で電気は1日あたり321kWh(冷房運転電気使用量の3.6%)、都市ガスは1日あたり156立方メートル(冷房運転ガス使用量の3.8%)を削減。これらは冷房運転日(60日)計算で二酸化炭素排出量31トンに相当。
※冷房によるコスト削減は66万3000円ほどと推計
・職員の8割ほどが「実際、見た目で」少し涼しくなったと感じる。


市役所本庁舎

サーモカメラ画像
市役所本庁舎とサーモカメラ画像。朝顔が生えている部分の温度が下がっているのが分かる。

直接の冷房効果が生じる原因は、朝顔の葉によって日かげが生じることによるもの。また、葉の表面からの蒸散作用も期待できる。壁を伝わって伸びるという朝顔の属性や、ビジュアル的な美しさによる心理上の効果も見逃せない。

レポートでは電気・ガス代が66.3万円ほど節約できたとあるが、朝顔の種代や育成の際の水代、メンテナンスのための人件費は試算されていない。恐らく金銭的にはトントンか、多少黒字といったところだろう。しかし何よりエネルギーを節約できたこと、二酸化炭素排出量削減に協力できたことに意義がある。

さるSF系漫画では大気汚染を改善するため、あらゆる建物に生体建材を用いるという話がある。生体建材の実用化にはまだまだ時間はかかりそうだが、現状の技術でもこのように、似た効果を得られそうである。

以前似たような実験では屋上にさつまいもを栽培して冷却作用を狙うという話があった(【NTT都市開発(8933)、サツマイモで都市冷却化実験】)。来年は壁には朝顔、屋上ではさつまいもの栽培を行なえば、もっと冷房効果が狙えるし、外壁の見た目も美しく屋上では収穫も楽しめるという、二倍どころか三倍も効用が得られると思うのだが、どうだろうか。


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(最終更新:2013/08/18)

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