携帯で漫画を読む時代……はまだ遠いかも!?

2007年11月05日 06:30

【マイボイスコム】が先日発表した調査結果によると、携帯電話で漫画が読めるという配信スタイル、つまり「携帯コミック」の認知度は74%にも達していることが明らかになった。ただし今後利用したいかどうかについて肯定派は1割程度でしかなく、大いに流行している「携帯小説」「電子書籍」などの文書スタイルと比べると、敬遠されていることがうかがえる(【発表ページ】)。

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今調査は10月1日から5日までの間、ネット経由で行なわれ有効回答者数は1万7110人。男女比は46対54.構成年齢層は30代がもっとも多く40%、次いで40代が27%など。

コミックそのものがあまり買われていない?~買う人は3割強

まず携帯であるか否かを問わず、そもそも論としてコミック・漫画に購入ニーズがあるかどうかについてたずねてみたところ、「買わない」と答えた人は6割以上を占めた。

毎月コミック・漫画に使っている金額は
毎月コミック・漫画に使っている金額は

いくら使うかとたずねられて「買っていない」と前提をくつがえされる回答が過半数を占めるのも妙な話だが、これが現実というものだろう。さらに購入している人も月に1000円以下と答える人が24.9%。よくて2冊、少々値が張るものでは1冊買えばそこでおしまいになってしまう。小説や雑誌と違い、コミック・漫画向けの予算枠はさほど大きくはないようである。

携帯コミックを知ってる人は7割強、恋愛・学園ものが人気

最近は携帯電話そのものの性能向上で、小説などの文章(携帯文庫・電子書籍)だけでなく、漫画も続々登場するようになった。認知度もそれなりに高いようだ。

携帯電話でコミック・漫画が読めることを知っているか
携帯電話でコミック・漫画が読めることを知っているか

複数回答なので単純にすべての項目を足し算することはできないが、両立し得ない選択肢だけを足しても(あるいは全体から引き算をしても)7割以上が何らかの形で「携帯コミック」を知っている計算になる。認知度はかなり高いようだ。

さらに読んだ人に、読んだことのあるジャンルをたずねたところ、「恋愛もの」がトップに立ち、それに「学園もの」が続く形となった。

読んだことがある携帯コミックのジャンル
読んだことがある携帯コミックのジャンル

ただし「恋愛もの」の項目に「ティーンズラブ」が含まれているのが少々曲者。昨今ではこのジャンルの伸びが著しいとの話を耳にする。あるいは「恋愛もの」の大部分をこれが占めているのではないだろうかとも考えられる。一方で、「ティーンズラブ」同様に最近話題を呼んでいる「BL(ボーイズ・ラブ)」はさほど多く読まれていない。まだ携帯電話上に作品がそれほど集まっていないからなのかもしれない。

これら携帯コミックにかける一か月あたりの金額はいくらくらいになるのか。紙媒体のコミックには一か月1000円以内、あるいはそもそも買わないというのが主流意見だったが、「有料の携帯コミックを読んだことがある人」にたずねたところ、「300~500円」の回答がもっとも多く3割強を占めた。

(携帯コミック購読経験者に)いくら位一か月あたりに携帯コミックに費やすか
(携帯コミック購読経験者に)いくら位一か月あたりに携帯コミックに費やすか

「有料の携帯コミック購読経験者」自身が少ないので先の「紙媒体のコミック購読者」との単純比較はできないが、「300~500円」を中心に1000円以内という状況には「紙」も「携帯電話」も変わりはないようだ。

携帯コミックは「暇つぶしにぴったり」・しかし今後の利用割合は……

携帯電話上からコミック・漫画を読む理由についてたずねたところ、「暇つぶしによい」と答えた人が圧倒的に多く6割以上を占めた。

携帯コミックを利用する理由
携帯コミックを利用する理由

携帯電話のコンテンツ(内容・情報)を利用する理由は、それがメールであろうとウェブまわりであろうゲームだろうと「ちょっとした時間の合間に」「暇つぶしに」であることが多く、またそれが出来るのが携帯電話のメリット・特徴でもある。この「携帯電話独自の特徴」は、携帯コミックにおいても当てはまるようだ。電子化されることのメリットもいくつか挙げられているが、支持数はさほど多くない。

それでは今後「携帯コミック・漫画」を利用したいかどうか、ズバリたずねたところ「利用したい」派はわずか1割程度にしか過ぎなかった。

「今後」携帯コミックを利用したいか
「今後」携帯コミックを利用したいか

携帯電話でコミックを読むというスタイルの普及はまだまだ遠いようだ。


【ケータイ電子書籍、知ってる人は9割・利用経験者は半数以上】にもあるように携帯電話上で小説などの長文を読むという「電子書籍」のスタイルは多くの人に受け入れられ、利用されるようになった。これはもともと携帯電話上での利用コンテンツ「ウェブ周り」「電子メール」と同じ「文字列」を使っていることから、違和感なく受け入れられたのが最大の要因だろう。

一方「携帯コミック・漫画」は文字列から形成される文章とはまったく性質を異なるものとして受け止められてしまう。その点でハードルはきわめて高い。また、以前と比べれば料金体系・ハードそのものの機能(主に画面の広さ)など、携帯コミック向けの環境も整いつつあるが、正直今現在でも「携帯電話でコミックを読む」のには多少以上の無理があるといわざるを得ない。

さらに多くの携帯コミックが「携帯ならではのコマ割り、演出」をうたいながらも結局紙媒体上のコミックの焼き直しでしかなく、携帯電話上で見るには違和感があるのも普及しない理由だろう(電子化のメリット云々については「大画面のパソコンで見ればよい」ということになってしまう)。

携帯小説の世界では「携帯電話上で読まれることを前提にした」文章スタイルが大いに受け、携帯書籍・電子書籍が躍進する一因にもなった。パソコン上のFlash漫画も「Flashを利用しているからこそできる」演出で人気を集めている。携帯コミックの世界でも普及を果たすには「携帯ならではの見せ方、魅力」を持った作品の登場を待たねばならないのだろう。

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