今調査は2007年が6月18日から7月19日、1997年が3月7日から3月31日に行われたものでサンプル数はそれぞれ800人・1500人。対象は2007年が小学5年から中学3年、1997年が小学4年から中学2年。対象地域は首都圏40キロ圏内で、調査方法は訪問留置自記入法。男女比は1対1で年齢階層はそれぞれ全学年毎に当分。

●欲しいものは何ですか、手に入れ難いものですか

1997年・2007年それぞれについて複数回答で「ほしいもの」についてたずねたところ、1997年も2007年もトップは「お金」、第二位は「いい成績」で、2トップの順位は変わるところが無かった。

欲しいものは？

10年経過しても欲しいもののトップは相変わらず「お金」。言葉通り子どもでも「現金」であることか分かる。しかしその割合は5ポイントほど減少している。一方で第二位の「いい成績」は10ポイントほど増加し過半数に達した。これは子どもたちをとりまく環境が、成績に関してより厳しい状況にさらされるようになったことを暗示している。「ゆとり教育」によって得られるはずだった子どもたちの「ゆとり」は、実際には逆にプレッシャーとして重くのしかかっていたようだ(リリース最後にあるが、結局塾や習い事が増え、勉強時間が増えている)。

一方10年間のうちに第三位に躍り出たのは「時間」。1997年時点では「万事を尽くして天命を待つ」とばかりに「ツキ・運」を求める子どもが多かったが、2007年になるとその「万事」すら満足に出来ていないと思ったのか、まずは「時間がほしい」と考えているようだ。

またトップ3には入っていないが「自由」を求める子どもが大幅に増えている一方、「ボーイフレンド・ガールフレンド」と答えた子どもが約半数に減っているのも気になるところ。異性のことを想うような「大人びた発想」をするまでには至らない、つまり成長度合が遅くなったのか、それとも逆に「異性などは二の次」とドライに考えるようになったのかは分からない。

●欲しい時間は「寝る」「友達と」「ぼんやり」

10年の間に大幅に増加した、子どもたちの「時間」への欲求。そこで「もっと増やしたい時間はどのような時間か」についてたずねたところ、やはりトップと第二位は以前と変わらず「睡眠時間」「友達とすごす時間」だった。ただし、第三位は以前が「テレビを見る時間」だったのが「ぼんやりとすごす時間」に代わっている。子どもらしくない回答ともいえる。

もっと増やしたい時間は?

「寝る子は育つ」という言葉にもあるように、成長過程にある子どもには寝る時間がもっとも大切。ところが十二分に寝ているとは言いがたく、子ども自身が「もっと寝ていたい」と訴えている姿は10年前も今も変わらないようすがうかがえる。

一方、「テレビを見る時間」「テレビゲームをする時間」など、子ども自身の娯楽の時間を求める声は大幅に減少し、ただ単に「ぼんやりとすごす時間」が増加している。また、「勉強をする時間」も相当増えている。前者は遊びなど二の次で、何はともあれセカセカとした日常のことを忘れてぼーっとしていたいという魂の叫びが聞こえてきそうだ。後者は後者で、ゆとり教育云々が叫ばれても結局塾や習い事で勉強を詰め込まれ、ノルマを目の前に「もっと勉強しなきゃ」と追い込まれているようすがうかがえる。

調査結果ではその他にも「時間的ゆとりがないと考えている子どもが大幅に増加している」「遊びより勉強」と人間関係がドライになったように見えながらも、「友達数は増加」「もっとも知りたいのは友達の話」「本をよく読む割合が増えている」など、状況の変化にたくみに対応しつつ人間関係を重視したり、自分の知識欲を深めようと努力しているようすが見える。

本来自由な時間、そして自由そのものが手に余るほどあるはずの子どもたちの多くが「自由がほしい」「心身が疲れているので自分の時間がほしい」と答えているのには、やるせない思いを感じざるを得ない。子どもたちも自分達が出来る範囲内で努力をしているのだろうと思いたいし、保護者の立場にある人ならば、少しでも「子どもたちの時間」について耳を傾けてほしいものである。