医療費が 「高い」と思うは7割台 負担が「重い」は 何と8割

2007年11月22日 06:30

医療イメージ健康保険組合連合会は11月20日、医療に関する国民意識調査結果を発表した。それによると医療費について「高い」と思う人は全体の7割を超えていた。また、保険料など国民が負担する額については「重い」と回答する人が8割近くを占めるなど、もっと効率よく医療費を使ってほしいとの考えが多くの国民にあるようだ(発表リリース、PDF)。

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今調査は郵送による発送・回収方式で2007年9月に行なわれ、2000人を対象。うち1263人から回答が得られた。男女比は554対693。平均年齢は46.9歳。年齢階層は60代がもっとも多く23.4%、次いで50代の22.1%。比較的年齢が高く、医療費にも関心の高い層の回答が多い。

「医療費が高い」と感じる人は71.9%

2005年度の国民医療費は33兆1289億円を計上している。この額についてたずねたところ、71.9%もの人が「非常に高い」「やや高い」と答えた。

国民医療費についての考え
国民医療費についての考え

一方で「非常に低い」「やや低い」と答えた人は2.9%に過ぎない。「通院したり入院する頻度が高いから高い」のか「医者や薬などに支払う単価が割高」なのかは別としても、医療にかかる金額が高いという意識は非常に強いようだ。

「医療費の負担が重い」は8割近く

医療費が高いと考えていたとしても、それが個人にとって負担が軽いのか重いのかはまた別の話。極端な例えだがバンソウコウが1枚100円したとしても、年収1億円の人にとっては屁でも無いだろう。「高い」と考えている人が多い医療費について、負担の度合を尋ねたところ、79.3%もの人が「重い」「やや重い」と答え、負担に感じていることが分かる。

医療費負担についての考えとその理由
医療費負担についての考えとその理由

負担を重荷に感じない人は8.0%にしか過ぎず、実に8割近くもの人が「医療費の負担が重い」と感じている。そしてさらに「負担が重い」理由については、医療費そのものよりも「保険料が高い」と回答している人が多いのが分かる。

「保険」そのものの考え方の根底に関わる話だが、健康で結論として一年まったく病院のお世話にならなかった人でも毎月万単位の保険料を支払う必要がある。金額だけを見ると、「保険料が高いな」と思ってしまうのは、悲しい人の性(さが)なのかもしれない。病院のお世話になった場合保険に入っていなければその数倍の負担を求められるリスクがあるにも関わらず、だ。

医療費が高いのは分かるけど、どうすれば良いのかは「分からない」

医療費が高い、負担が重いという意見は国民共通のものであるようだが、それでは「増加する医療費をまかなうにはどうしたら良いのか」とたずねたところ「分からない」と回答した人が最も多かった。

増加する医療費をまかなうにはどうしたら良いのか
増加する医療費をまかなうにはどうしたら良いのか

色々な方法が考えられるが、どれも負担や問題があり、どの方法がもっとも良いものなのか、あるいは他にもスマートな選択肢があるのではないかなど考えが巡り、あるいは「金銭関係は素人には分からない」ということなのか、明確な回答は得られにくいようだ。

増える医療費をまかなう方法は分からなくても、節約する方法はあるのではないか。その観点に基づき、「増加する医療費を抑制する方法」をたずねたところ、こちらについてはある程度明確な回答が得られた。「ジェネリック医薬品の普及」「病気の予防」が過半数を超える賛同を得られている。

増加する医療費を抑制する方法
増加する医療費を抑制する方法

ジェネリック医薬品については効用やサポート体制の問題など解決すべき点が多いものの、「価格が安い」≒「医療費を抑えられる」ことから、医療費を抑えたい国側でも政策面で強力に普及を推し進めている。啓蒙運動の甲斐もあり、医療費を実際に負担する国民の間にも「ジェネリック医薬品を使うことで医療費は抑えられる」という考えが浸透しているようだ。

「医療」としての根本的な考え方「一番良いのはお医者に治療してもらうような病気をしないこと」という予防方面の考え方が過半数を超えていたものの、「ジェネリック医薬品の普及」に及ばなかった結果は賛否両論が分かれるところだろう。虫歯に例えるのなら「こまめに歯医者で治療しましょう」ではなく「歯をみがいて歯こうをとり、虫歯にならないようにしましょう」と推奨し、また考えるのが健全な医療体制であるはずだからだ。


医療費が高くなり、負担増を感じる人も増加しているのは事実であるし、医療費を減らすべくさまざまな方策が打ち出されている。しかし単純に医療費を削ればよいというものでもない。先の虫歯の例ならば、歯医者への定期健診の回数を減らすのではなく、歯みがきの正しい方法を学んだり歯みがきをもっとしっかり行なうようにする、カルシウムの摂取をもっと心がけるなど、医療費を支払わなくても済むような「予防」の面に注力するべきだろう。

つまり「医療費が必要な時にその負担額を減らす」のではなく「医療費そのものをあまり負担しなくても済むような身体を作るべく努力する」方が健全であり、結局自分自身の身体にもプラスとなると思うのだが、どうだろうか。

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