【更新】がん検診受診率50%が可能な県は4県のみ・財政負担が重し

2007年11月20日 08:00

医療イメージ[読売新聞]は11月19日、独自調査の結果として、国が6月に閣議決定したがん対策推進基本計画の数値目標である「5年以内にがん検診受診率50%」を実現できそうな県が4県に留まり、43都道府県が「困難」あるいは「不明」と考えていることを明らかにした。財政難や関心の低さ、「特定健診」のしわ寄せなどを理由として挙げている。

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今調査結果は9月から10月、市町村のがん検診を指導管理する全都道府県を対象に、検診などの現状を尋ねたところ判明したもの。それによると50%の受診率が可能と回答したのは「宮城」「茨城」「埼玉」「福井」の4県のみ。「山形」など7県は「難しい」と回答。他の36都道府県は「分からない」と答えたが「県の普及啓発だけでは限界」「国の財政支援がない努力義務では無理」などというように現状では難しい回答が目立ったという。

複数回答で受診率向上を阻むものについてたずねたところ、次のような回答が得られている。

・市町村の財政難……42
・住民の関心の薄さ……34
・検診の対象人数や受診率などの基本データの不足……33
・特定健診による市町村業務の負担増……32

※数字は都道府県数


「財政難」についてはメタボリック症候群対策として来年から実施される「特定健診」では法的義務付け・事業費の1/3を国が助成(571億円が概算要求予算として計上)など、特別の計らいが行なわれているのに対し、「がん検診」では義務化を裏付ける法的根拠も財政支援も無く、いわば「国の掛け声だけ」でしかないことが背景にある。

【がん検診 受けた経験 約3割】にもあるようにがん検診の受診率は2年以内で10.4%~39.2%と3割弱に留まっている。また、【がんの致死率、日本はやや低め・ただし喫煙率と密接な関係あり】でも触れているが、日本はとりわけがん検診に対する興味関心が薄いことで知られている(【例えば高齢女性における乳がんの検査率はOECD加盟国中最下位の4.1%にしか過ぎない】)。

メタボリック症候群対策への注力は必要不可欠だが、国においてはそれと同程度、せめて半分くらいはがん検診への対策を強化してほしいものである。

(最終更新:2013/08/18)

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