「職場で強いストレスを感じる」15.6%、原因は職場の人間関係

2007年11月03日 12:00

マネジメントベースが10月30日に発表した調査結果によると、強いストレス状態にあると感じている正社員の割合は15.6%にも達していることが明らかになった。また、ストレスの原因としては「人間関係の悩み」がもっとも多く挙げられていることも明らかにされた(【発表リリース】)。

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今調査は民間企業や官庁などに勤務する正社員を対象に2007年2月末にネット経由で実施されたもので、有効回答数は5049人。回答者の男女・年齢層別などの階層は明らかにされていない。

「しばしば(以上の)ストレスを感じる」は15.6%・若年層に強いストレス

抑うつ、不安、脱力感といったストレス反応を、調査期間を中心にした1週間以内に感じているかどうかたずねたところ、「しばしば」以上の頻度で感じ「強いストレス状態にある」とされる割合は15.6%にも登った。

ストレス反応の強さ別分布
ストレス反応の強さ別分布

ここにおける「ストレス」とは成長に欠かせない適度なプレッシャーではなく、抑うつ、不安、怒りといった心理的ストレス反応、あるいは脱力感といった身体的ストレス反応の事を指す。ストレスは体重や身長、血圧のように機器で数値化されるような形で計測できるわけではなく、5つの選択肢の中から自分の判断で選んでもらった。そのために、やや正確さに欠けるところがある。とはいえ15.6%もの人が「しばしば」「大体いつも」ストレスを感じているというのは問題視されるべき大きさだと思われる。

また、年齢層別に「しばしば」以上のストレスの感じる率を調べたところ、若年層ほどストレスの割合が高く、年を経るにつれてその割合が減っていくことが判明した。

年齢別「しばしば」「大体いつも」ストレスを感じている人の割合
年齢別「しばしば」「大体いつも」ストレスを感じている人の割合

ただしもっとも強い反応「大体いつも」が多いのは若年層ではなく30~34歳という中堅層だった。過去に労働経済白書で「中堅サラリーマンが板ばさみに合い、強いプレッシャーを受けている」という分析が行なわれていることを指摘したが、まさにそれを裏付けるデータといえよう。

仕事上のストレス原因は「職場の人間関係」

ストレスの反応の強さと仕事上(会社や職場、仕事、上司など)要因との関係をチェックするため、ストレスの反応得点を目的変数、仕事上の各要因を説明変数とする重回帰分析(統計方法の一つ。複数の説明変数を用いて、目的変数と説明変数の間に式を当てはめ、目的変数が説明変数によってどれくらい説明できるのかを定量的に分析すること……今件ではきわめてざっくばらんに説明すると「ストレスと関係が強い項目探し」)を行い16項目を抽出。もっとも「ストレスの反応」と関係が強い項目は「職場の人間関係」だった。

影響度の強さ別ストレスの原因
影響度の強さ別ストレスの原因
三大ストレス要因
「人間関係」
「仕事の質」
「会社の将来性」

もっともストレスに影響が強い「人間関係の悩み」は他の項目より頭一つ抜き出ており、いかにこの項目でストレスを感じている人が多いことが分かる。続く「目標が高すぎてプレッシャーを感じる」「今の仕事では自分の能力を発揮することはできないという不満感を覚える」「会社から期待されている成果を出せなくて自分の立場を不安に思う」など、自身あるいは会社側に起因する「仕事の質」に対するストレスが多い。続く「会社の将来性」とを合わせて「人間関係」「仕事の質」「会社の将来性」の三大要素が、大きなストレスを従業員に与えていることが分かる。

漫画などの表現によくある、「机の上に山ほどの仕事を抱え込んでプレッシャーを感じる」といったような「仕事の量」によるストレスは、思ったほど多くは無い。


今回の調査では他にも「悩んでいる人ほど強いストレスを感じる」「ストレスを強く感じる人ほど仕事の満足度は低く、離職したいと思う気持ちが高くなる」という結果が出ていることを報告している。

何のストレスもなくぬるま湯的な環境では、「のびのびとした」「自由度の高い」仕事場にはなるが、緩慢的なゆるみ・たるみが生じてしまう。個々の自己意識改革やモチベーションを高める仕組みを同時に導入しないと、どごその国のお役所のように誰もが責任感を持たなくなり、サボタージュなどが頻発する羽目になる。

ある程度の「ポジティブな」ストレスは必要不可欠。とはいえ過度の、あるいはマイナスの効果しか生み出さないストレスは会社にも従業員本人にもプラスにならない。さじ加減が難しいが、それをいかにうまく調整し、感情に走ることなく適切なストレスを生み出していくかが会社、特に管理側の人たちに求められるだろう。

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