東証、正式に「売買単位を最終的に100株に集約」を発表

2007年11月28日 06:30

株式イメージ東京証券取引所は11月27日、上場制度の整備の一環として、「売買単位の集約に向けた行動計画」を作成し公表した。これによると先に【東証が株式売買単位を100・1000株に集約、2009年から開始・2012年までに】で報じたように、株式の売買単位(単元)を100株・1000株の2種類と成し、最終的には100株に統一することを目標と掲げている。さらにこの「統一指針」は東証だけでなく他の日本国内証券取引所すべてに対して適用するとのことである(【発表リリース】)。

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理由は「国際化」「便宜性」「誤発注軽減」

東証(及び他の日本国内証券取引所)が売買単位の集約を求めているのは次の理由による、と説明されている。

・国際競争力向上のためには使い勝手を良くする必要がある。売買単位が多数あるのは複雑で面倒くさい(アメリカでは100株、欧州では1株が主流)。
・売買単位を統一すれば市場利用者にも利便性がプラスとなる。
・流動性が高くなるので上場企業にもプラス。
・誤発注のリスクが軽減できる。


また、1株や1000株ではなく100株を最終統一目標とする理由については、次のようなデータと共に理由をいくつか列挙している。

単元株式数の現状と100株への移行銘柄がすでに増えている状況
単元株式数の現状と100株への移行銘柄がすでに増えている状況

・すでに多数の企業が100株あるいは1000株を採用
・100株への移行が最近増えている
・1000株よりも100株の方が、取引単位金額が適切な額(5~50万円)に収まっている割合が多い。
・会社法上単元株式数は1000株以下なので、1000株に統一すると上限が埋まってしまいフレキシブルな種類株式の設計が不可能になる。


スケジュールは電子化をはさんで進行

東証の思惑として、2009年1月の株券電子化制度をはさんだスケジュールは次のように考えている。

■第一段階(2008年4月~)
・新規公開、単元変更企業は100株にするようルールを変える

■中断期間(2008年12月~2009年3月)
・株券電子化前後は混乱を避けるため売買単位集約作業は停止

■第二段階(2009年4月~2012年3月)
・100株と1000株の2種類に集約させる。今段階の終期は変更の可能性あり

■第三段階(2012年4月~)
・100株に集約


なお説明の中に「売買単位の集約に際しては、望ましい投資単位についても引き続き求めていくこととしております」という表記もある。売買単位の集約(1000株・100株の2種類、最終的には100株に統一)の過程の中で、【東証、株式売買の最少金額単位を「5万円」へ】にもあるように「売買'代金'」が5~50万円の領域に納まるようにもうながしているというわけだ。要は売買単位の集約の過程で売買代金が多額や少額(数百万円や数千円)に至ってしまう銘柄については、分割や併合を行なえと暗に示唆しているのだろう。

もし仮に100・1000株以外の売買単位の株式を持っている人がいても、今回の集約指示で手持ちの株式の価値が変わるわけではないので、安心してほしい。あくまで取引単位の変更に過ぎないのだから。

売買単位が集約(変更)されても
手持ち株式の価値は変わらない

例えば1株1000円の株式を1売買単位500株(評価額50万円)持っていて、売買単位が100株に切り替わったとしても、保有「売買単位」は1単位から5単位に増えるが、株式数は相変わらず500株のままであるし、株価が1000円のままなら評価額も50万円のまま。さらに株以外のもので例えるのなら、6個入りの卵パックを1パック買ってそのまま冷蔵庫に入れても、パックから出して6つを別々のホルダーに並べても、「卵6個」には変わりないということだ。

ただし1000株から100株に売買単位が変更になる場合、1売買単位あたりの売買代金も1/10になるため、投資家の参加が容易になる。流動性は高くなることが予想される。逆に1000株・500株から100株になった場合、流動性が低くなるかもしれない。


パンフレットに一通り目を通してみたが、どのような強制力を持って「1000株・100株」「最終的に100株」に売買単位を集約させるのかが明記されていない。よって、変更をするべき企業へどのようなアプローチをかけていくのか現在のところは不明。

例えば現状であまりにも売買代金が高すぎる・安すぎる企業に対する「5~50万円内になるべくおさまるようにしなさい」という要請は努力目標にしか過ぎず、「考えているけどまだ先の話」として先送りする企業も少なくない。

一方、例えば時価総額がいくらとか債務超過などのような「上場規程」に抵触した企業に対してはしっかりとしたルールを定め、監理ポストに移行させて猶予期間を与えた後に「ルールを守らないのなら退場(上場廃止)ね」という強制力を持ち、処分を実行している。

会社法との絡みもあわせ、どのような姿勢で各取引所が臨もうとしているのか、気になるところではある。

……一つだけ確かなのは、少なくともこれから数年の間、当サイトの「株主優待速報」のコーナーで「単元変更」の記事掲載頻度が上がることだろうか(笑)。


(最終更新:2013/08/18)

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