三洋電機、携帯電話事業を京セラに売却へ・正式発表

2007年10月11日 19:35

【三洋電機(6764)】は10月11日、【京セラ(6971)】に携帯電話事業を売却することについて基本合意に達したと正式に発表した。今件については本日早朝から各報道機関がその内容を伝えていたが、その時点では「当社から発表したものではなく、現時点での決定事実はございません」とし、否定も肯定もしていなかった。今後京セラは三洋電機からの携帯電話事業の譲渡に関する優先交渉権を得て、交渉を行なうことになる(【発表リリース】)。

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三洋電機側の説明によれば、従来の経営計画では携帯電話事業を中核事業の一つとして位置づけてコスト構造の改革など競争力の強化を図ってきたが、状況の変化などから不振状態からの脱却は難しいと判断。そこでこの部門を切り離して経営再建を加速する狙いがある。一方京セラ側は【リリース】にもあるように、主力事業の一つである通信機器関連事業の強化(特に携帯通信市場)のため、今回買収に名乗りを挙げたとある。とりわけ三洋電機は北アメリカに販路があり、京セラにとってはこれが魅力的に映ったようだ。

なお今回売却の対象となる事業は携帯電話事業全般(大阪の大東工場)、PHS端末事業(マレーシア)、PHS基地局事業やWiMAXなどの無線通信システム事業。ただし子会社の鳥取三洋電機やテレコム三洋は対象から除かれる。これら事業の売上高は2770億円程度。

三洋電機における携帯電話事業はかつて花形・稼ぎどころだった。しかし【NTTドコモ(9437)の携帯電話の電池破裂、原因は三洋(6764)の電池】でも一部触れているが、ノキアとの提携でつまづいたりアメリカ側メーカーの方針転換で売行きが不振に陥るなどで、2006年度には初の営業赤字に転落。現経営陣では建て直しは難しいと判断されたようだ。

三洋電機では一部報道によると半導体事業も独立系投資ファンドのアドバンテッジパートナーズを優先交渉先として売却交渉を進めているとのこと(【三洋電機自身はこれを肯定も否定もしていない……「否定している」ではないことに注意】)。そもそも三洋電機では集団経営体制の混乱が何度と無く伝えられ、実際事業上にもその影響が生じているといわざるを得ない。主軸事業ともいえる携帯電話事業(そして正式発表はされていないが半導体事業)の売却により、三洋電機がかつての勢いを取り戻す事はできるのか。注意深く今後の動向を見守りたいところだ。


(最終更新:2013/08/19)

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