「ネット上でも有害情報は規制すべき」9割が賛成

2007年10月26日 06:30

時節イメージ内閣府は10月25日、「有害情報に関する特別世論調査」の概要を発表した。それによると情報の規制がないインターネット上においても「規制を行なうべき」であると考えている人が9割を超えていることが明らかになった。また現在は都道府県別に条例で規制されている雑誌やDVDなどに対しても6割以上は「国で規制すべき」と回答していることが分かった。津波のように情報が満ちあふれる現代社会において「問題視すべき」情報も増えているという認識が世間一般に広まっている状況がうかがいしれる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は9月13日から23日の間、個別面接による聞き取りで行なわれたもので対象は20歳以上の男女。3000人の問い合わせに対し1767人から有効回答を得られた。「有害情報」そのものは「子どもたちに悪影響を与える恐れのある情報」であり、「わいせつ」「暴力的」「犯罪などを誘発」「薬物や危険物などの使用を誘発」するものと定義されている。

「雑誌やDVDの規制は国ですべき」63.2%

現状においては一般販売されている雑誌、DVDの問題視すべき情報への規制は(法的抵触案件がない限り)各都道府県が条例で対処している。この現状についてたずねたところ、「国が規制すべきだ」が63.2%を占め、現状の「都道府県の条例のみで」と答えた人は21.8%に過ぎなかった。

■雑誌やDVDなどの有害情報規制について

・国として規制すべき……63.2%
・各都道府県の条例で規制すべき……21.8%
・国や都道府県が規制すべき……9.8%
・分からない……5.1%


「規制をする」のが前提になっていることや、「任意団体や教育団体、専門機関に規制を依頼すべき」など他の選択肢が無いのがやや恣意的な気もするが、国が規制に関与すべきと考えている人は事実上7割以上に登っているのが分かる。

また、現状の規制はどちらかといえば「甘い」という認識でもほぼ世情は一致しているようで、「現状以上に強化すべきである」と回答した人は8割以上に登っている。

■雑誌やDVDなどの有害情報の規制の程度について

・強化すべき……80.8%
・現状維持……13.8%
・緩和すべき……1.0%
・分からない……4.5%


「ネット上の規制」賛成派は9割以上

ではインターネット上における規制に対してはどのような世情なのだろうか。規制すべきかどうかについての問いには「すべき」「どちらかといえばすべき」をあわせた「規制賛成派」は9割を超える結果が出ている。

■インターネット上の有害情報規制について

・規制すべき……68.7%
・どちらかといえば規制すべき……22.2%
・どちらかといえば規制すべきでない……3.1%
・規制すべきでない……1.4%
・分からない……4.6%


雑誌やDVDに対するもの以上に、規制への賛同意見が多いことが分かる。

それでは「自分自身で(周囲の人、例えば子どもに対して)行なえる規制手段」の一つとして有力な、携帯電話のフィルタリング機能を知っているかたずねたところ、「よく知っている」と答えた人はわずかに2割にも満たないという結果が出ている。

■携帯電話のフィルタリング機能について

・よく知っている……19.2%
・聞いた事はある……29.5%
・知らない……51.2%


こちらも選択肢が不十分なため「よく知っている」「聞いた事はある」人の中で実際にどれだけの人が使った経験があるかどうかまでは分からないが、存在そのものを知らない人が過半数を占めていることだけでも驚きに値する。

「規制すべき」という意見が9割を占めている一方で、自分で容易にできる規制手段について、存在すら知らない人がこれほど多いのは、「規制はするべきと考えているが、自ら何か積極的に行動をしたいわけではない」という考えの人が多数を占めていると見るべきなのだろうか。


インターネットや携帯電話の普及で、不特定多数に多種多様で詳細な情報を提供することが比較的容易になった今、千差万別な情報がちまたにあふれる状況となっている。珠玉混合という言葉で表現できるように、メディアの発達で新たに登場できた素晴らしい情報や表現、才能も多いが、同時に今回のテーマとなった「問題のある」「社会的に敬遠すべき」情報が目に触れる機会が増えたのも否定できない。

法的根拠に基づいて適切に、かつ厳しくスピーディーに取り締まれば自主的な規制につながる「歯止め」となりうるだろう。しかし雑誌やDVDはともかく、インターネットは国際的な情報配信の仕組みで成り立っているため、一様に法の網の目でカバーすることは難しい。さらに「どこまでが問題視すべきものなのか」という基準を設け、それを判断するのも一筋縄ではいかない。一歩間違えれば情報統制・言論の自由を規制するものとなってしまう。

とはいえ、例えば今調査結果中にある「児童ポルノの単純保持規制」に対する意見(現行法では保有だけなら法的問題にはならない)で9割強が規制すべきだと答え、5年前の調査から1割以上も賛成派が増えているなど、特定分野においては早急な対策も必要とされているようだ。同時に「法で規制されてなければ何をやってもかまわない」と考える風潮も是正されるべきかもしれない。

また同時に、携帯電話のフィルタリング機能の認知度の低さに代表されるように、「なんとかすべき」と考えている側にもさらなる「勉強」が求められよう。

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