野生動物の被害額、1年間で196億円

2007年10月16日 08:00

野生動物イメージ農林水産省は10月12日、2006年における野生鳥獣類による農作物被害状況を明らかにした。それによると野生の動物や鳥によって、お米や果物などを食い荒らされるといった被害は金額で196億4000万円と前年度比9億5100万円増加となった。農林水産省ではこれを受けて、被害を防ぐための支援を検討するとしている(【発表リリース】)。

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リリースによると主な鳥獣類による被害額は次の通り(額の高い順)

・イノシシ……55億2900万円(+6億4300万円)
・シカ……43億0900万円(+4億2500万円)
・カラス……30億6800万円(-2億7500万円)
・サル……16億3000万円(+2億4100万円)
・クマ……7億6400万円(+4億5400万円)

※()内は前年度比


リリースには詳細な表が掲載されているがそれを見る限り、鳥の類の被害額はほぼ減少傾向にあるものの、獣類、特にクマやイノシシ、シカ、サルなど比較的大型の動物によるものが増加しているのが分かる。クマについては昨年・今年に何度も街中に現れたり旅行客と遭遇するなどニュースに登場しているし、サルについては田畑を荒らす事件がワイドショーやニュースの特集で伝えられていることから、納得する人も多いことだろう。

被害増加の理由についてはさまざまなものが考えられるが、「農家の担い手が少なくなり管理が行き届かなくなった」「環境が悪化したり気候の変化で、動物が住まう森林で食べ物が少なくなったため田畑にやってくるようになった」などが想定される。特に過疎化・高齢化が進む山間部ではこの傾向が強い。

一部報道ではこれを受けて、農林水産省側として職員が狩猟免許を取得したり、野生動物を捕獲する資材を購入したりするなど市町村の取り組みに対し、支援を検討すると伝えている。

5月に発表された【2006年度食料・農業・農村白書】でもこの野生動物に対する問題に関する言及があり、例えば滋賀県や島根県、山口県の一部での事例として山林と農地の間に緩衝地を設け、そこに牛や羊、ヤギを放牧することで、イノシシなどの襲来を避けることができたなどの例が報告されている。

放牧による耕作放棄地の管理と農地の保護の事例
放牧による耕作放棄地の管理と農地の保護の事例

他にも獣害を受けにくい農作物の作付けをしたり、NPO法人を設立して対処するなど、さまざまな事例が報告されている。

農林水産省に対しては被害額の増加を受け、白書に記載されている事例をさらに促進・普及させると共に、特に増加したクマへの対処も求められることだろう。さらに「侵入を防ぐ」だけでなく、そもそも論として「田畑に食料を求めにやってくる」ことが無いような環境整備(自然環境の保護と育成)も必要となるに違いない。

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