廃棄予定の軍艦を路上生活者の施設に・ハワイの支援団体が計画進行中

2007年09月16日 12:00

Acadiaイメージ【NavyTimes】によると、アメリカ海軍で現在退役・予備保存されている軍艦を、路上生活者の収容施設に充てる計画が支援者団体の間で進められている。具体的には、ハワイの真珠湾に停泊している駆逐艦用補給艦だったAcadiaがその第一号になる予定だという。海軍側でも「支援団体がAcadiaの取得に成功すれば、そのような用途に用いられる軍艦の第一号になるだろう」と言及している。

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アメリカ海軍の軍艦は一部が博物館や展示「艦」としてその姿を残すが、大部分はスクラップ化されるか訓練用として用いられることになる。今回スポットライトがあてられたAcadiaは1981年に建造された。駆逐艦への補給艦として実任務にも参加、1994年に役を解かれている。海軍側では同艦について、民間企業に安く売り払うか、スクラップ処分にするか、あるいは贈与するか、いずれにしても予備保存状態を取りやめる方針を明らかにしていた。

Acadiaイメージ路上生活者の支援団体では、路上生活者用の施設を陸上で作るにはコストが高いこと、そしてハワイでは何か独創的なことをしなければならないという点で、今回の「元軍艦を収容施設に用いる」案を立案し、推進しているという。現在、Acadiaを引き取ったあとどの場所に在泊させるのか、ホノルル港や西オアフ島などと交渉を進めている。この交渉がスムースに進めば、2009年5月には収容が開始される。ちなみに費用は艦内の内部改装費を合わせて200万ドル(2億3000万円)はかかるらしい。

記事に指摘されていたが、アメリカ本土同様、ハワイでも路上生活者問題は深刻化しているという。今年1月の段階で保護を受けていない路上生活者の数は3750人におよび、前年から28%も増加している。

地震などで住宅が住めない状態になった時、一時的な宿泊施設として軍艦や民間の客船を用いる話はよく耳にする。昨今の仮設住宅にまつわる問題を見るたびに、「海上自衛隊でも大型の輸送船を何隻も作って、平時にはこのような時に仮設住宅ができるまでの数週間は宿泊できる施設として利用できるようにすればよいのに」と考えているし、恐らく防衛省内部でも似たような考えを持つ人もいるのだろうが、「色々な問題」からそれはなかなか適わないようだ。

今回のハワイにおけるAcadiaの件は、廃棄処分になる予定の軍艦を収容施設にするという、いわば「不用品の有効活用」という意味でも評価できる。特に同艦の場合、通常の軍艦ではなく補給艦として用いられていたことから、改装も比較的楽だろう。

管理団体側がしっかりと長期に渡ってメンテナンスができるのかなどの不安点もあるが、一つのアイディアとして今後注目を集めるに違いない。

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