大手企業曰く「内需などどうでもいいから法人税をもっと下げろ」・日経調査

2007年09月16日 12:00

【日経新聞】が9月15日に行った調査結果によると、次期政権の重点政策として大企業経営者の7割が「税制の抜本改革」を望み、さらに9割以上が法人税引き下げを希望していることが明らかになった。昨今の国内不況が内需の縮小を主要因とし、さまざまな社会問題を産み出しているものの、大企業側はそのような実情などお構いなしという姿勢であることがうかがえる。

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今調査は9月13日から14日にかけてメーカー、金融機関、流通、商社など大手43社のトップから回答を得られたもの。大手企業を対象とした調査なので、世間一般の意見とはまた別であることを念頭に置くことに注意しなければならない。

現在与党自民党内総裁選挙の準備真っ最中であるが、今月末にも決まるであろう次期政権に対する「期待すべき重点政策」として「税制の抜本改正」を望んでいる人は7割にも登っている。そしてその「税制改正」のテーマとし、法人税率の引き下げを柱とする「企業の国際競争力」を上げた経営者は95%に登っているとのこと。

元記事では「日本の企業への実効税率は40.7%でOECD平均の27.8%を上回る。だから大手企業は法人税をもっと安くしてほしいと考えている」という主張でまとめられている。

似たような話は経済同友会からも4月に提示されており、【社会のために皆が願いを込めて納める税制への改革(PDF)】によれば

・法人実効税は35%に引き下げ
・消費税は合計で16%に引き上げ


などと論じている。

すでに8月上旬から約一か月の間に何回かに分けて解説した厚生労働省発の労働経済白書や、ほぼ同時期に発表された経済産業省の経済財政白書によれば、現在の日本が抱えている経済的・社会的問題(さまざまな格差や社会不安、構造的・全般的な不況と消費の縮小、内需の不活性化……)の多くは、企業、特に大企業が収益を還元する対象をこれまでとは変え、日本国内の内需促進にほとんど影響を与えていないからだという結論を出している。一言でまとめると「大企業が儲けを国内に還元していないから日本がダメになってる」(非常に乱雑な表現だが、分かりやすいのであえてこの表現を用いた)。

企業側の主張としては二言目には「国際競争力」、そして「企業が栄えれば国内も活性化する」というものだが、これも前者は大部分が数字のトリックであったり企業内努力で解決すべき問題であることが多く、後者は「美味しいところだけつまみ食いするものだから、活性化どころか衰退している」のが現状。

法人税の引き下げは
恐らく消費税の引き上げとセット。
→ますます内需は縮小し、
国内景気の悪化が懸念される。

法人税を引き下げたとすれば、その分減少する財源を別のところに求める必要が生じる。経済同友会の主張のように、「徴収しやすくぼかしやすい」消費税がそのターゲットになることだろう。ただでさえ内需が縮小し消費モチベーションが下がり、実質手取り賃金が落ち込み将来への不安が高まる(ので消費を避ける)という、内需縮小スパイラル状態に陥っているのに、さらに内需を緊縮させるつもりなのだろうか。

極論として、それほどまでに国際競争力云々を主張するのなら、法人税を引き下げてもかまわない。ただしそれとセットで何らかの強制力のある法案を通し、改正前後の税率分を何割かはストレートに内需へと振り向けられるような仕組みを創るべきだろう。

さもなければ(法人税の引き下げと、恐らくは消費税の引き上げを行なえば)大企業が主張する「大企業の国際競争力」は上昇しても、中小企業は相変わらず地上激突寸前の低空飛行を続けざるを得ないし、国内は景気縮小の一途をたどったままとなる。そして遠からず「国敗れて山河あり」ではなく、「国衰えて大企業あり」な状況になるに違いない。

もしそれが大企業側が主張する「真の国際化」の姿だとすれば、それを望むのかどうか、世間一般に問いただしてみたいものだ。

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