【更新】日証金による信用取引手数料の不等釣り上げ疑惑、読売など報じる

2007年09月07日 06:30

株式イメージ[読売新聞]など各紙は9月6日、信用取引の際に用いられる「貸し株」の手数料である「品貸料(しながしりょう)」について、品貸料を決める機関の最大手【日本証券金融(8511)】が入札参加証券会社に対し、高めの価格を提示するよう働きかけていたと報じた。同誌では「信用取引が個人投資家に広がる中、割高な手数料を支払わされている」と伝えている。これに対し日証金側では「現時点で申し上げられることはございません」とノーコメントの姿勢をとっているが、証券取引等監視委員会の検査が入っていることは認めた。

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詳細は上記参照記事にあるが、要は「信用取引の時に投資家に提供される貸し株の手数料の入札について、一部の入札で日証金が証券会社に価格を提示し、その価格を証券会社側も了承していた」ということになる。

これにはネット証券の普及と共にハードルが低くなった信用取引口座の急増で、信用取引のメリットの一つである「空売り」(売りから入る、最初に株を借りて売り、機会を見て時価で株を買い戻すか株そのものを返す)の利用者が増えるなど、貸し株のニーズが急増。その事態を受けて、需要と供給のバランスを調整してより多くの貸し株を手に入れ、貸し株が調達できなくなって取引そのものの停滞が起きないように価格操作をしていた可能性がある。

詳細は現状では読売新聞報道のがすべて。日証金自身は同日に【関連リリース、PDF】を出したものの「本日、当社の貸借取引業務に関する一部報道がありましたが、現在、証券取引等監視委員会の検査中ですので、現時点で申し上げられることはございません」というコメントばかりで実情は不明。

品貸料の価格コントロールは競争原理が働いていないがための弊害、とする意見もある。証券金融会社(信用取引において貸し株業務を行なう会社)は日証金以外にも大阪証券金融、中部証券金融が存在するが、現在日証金は東京、ジャスダック、札幌、福岡の4証券取引所を担当。事実上寡占状態にある。他の証券金融会社も東京の各証券取引所で貸し株業務を行なっていれば競争原理も働き、今回のような品貸料のつり上げや、貸し株不足の懸念もなかったのでは、との指摘だ。

日証金、証券取引等監視委員会の正式な発表を待たねばならないが、公平な取り扱いが為されるべき市場ルールを、仮に市場を統括する側が不正にコントロールしていたとすれば、それなりの措置は取られるべきだろう。また、状況を冷静に判断し、その原因を突き止め、状況に問題があればその問題を解決する方向へ、関連各所が動かねばならないものと思われる。例えば信用取引の急増による貸し株不足の懸念があるのなら、特定会社の品貸料つり上げによる企業からの貸し株承諾の増加ではなく、競争原理を働かせた市場全体の拡大で貸し株数全体を増やすような形である。

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