【更新】丸八証券(8700)、一任勘定と相場固定行為で証取委が勧告

2007年09月28日 19:30

株式イメージ証券取引等監視委員会は9月28日、【丸八証券(8700)】が取引一任勘定など証券取引法に抵触する行為を行なっていたとして、金融庁などに対し行政処分など適切な措置を講ずるよう勧告した(【発表リリース】)。

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丸八証券が証券取引法に抵触したとされる行為は大きく分けて「取引一任勘定取引の契約を締結する行為」と「取引所有価証券市場における上場有価証券の相場を固定させる目的をもって、一連の上場有価証券の買付けの受託・執行をする行為」の二つ。詳細はリリースにあるが、簡単にまとめると「4件の案件について禁じられている取引一任勘定契約を締結して実際に行なった」「主幹事を引き受けた上昇会社の株価について、上場後しばらくの間公募価格以上に高値安定化される目的で、自分の顧客にその額で買うことを勧誘して実行(103名・203件・33200株)した」というもの。

証券取引等監視委員会のリリースには記載がないものの、価格操作が行なわれた銘柄に該当するものは2006年3月9日に名証2部へ上場した【ケイエス冷凍食品(2881)】しかない。同社の公募価格は1850円で、確かに当時のチャートを紐解くと、証券取引等監視委員会が指摘した期間(2006年4月11日~5月23日)は不自然な、いかにも固定されているような値動きをしているのが分かる。

2006年3月から5月末までのケイエス冷凍食品のチャート
2006年3月から5月末までのケイエス冷凍食品のチャート

ちなみに「株価操作」が終わった直後に同社株価は急落し、上下を繰り返しながら現在は1400円台で推移している。株価高値安定の理由は当事者からの説明がない(当然)ので確定はできないが、公募価格を設定した同社計算の適正さを実証するためのものと推測される。

今件に関して丸八証券では[証券取引等監視委員会の弊社に関する勧告について(PDF)]を発表して第三者による調査委員会と社内プロジェクトチームの設置を決め、社内処分の確約などを発表している。

なお丸八証券は2年前の2005年6月にも取引一任勘定がらみで行政処分(業務停止命令と改善命令)を受けている。度重なる法令違反もあり、さらに今回は証券会社による不当な株価維持というきわめて異例な事態が明らかになったことで、金融庁からは「相応の」処分が行なわれるものと思われる。

競争が激化する証券業界において、厳しい立場におかれている中堅会社が顧客の維持と業績確保、信頼を得るために、必至にならねばならない事情は理解できる。しかし法令違反を行なってまでの「努力」は正しい姿とはいえない。証券市場全体の公平性と信頼性を損なうような行為は厳に謹んでほしいものである。

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