【更新】ネットワーク整備で株式取引の監視体制強化・「ジェイコム基金」を活用へ

2007年08月27日 06:30

株式イメージ[読売新聞]などが8月26日に伝えるところによると、インサイダー取引や相場操縦などの不正監視と投資家の保護を強化するため、官民で新しい電子ネットワークを整備することが明らかになった。全国の証券取引所や証券会社、証券取引等監視委員会など各種機関が参加する。数年後の実現を目標とし、秋以降本格的な調整に入るという。費用は数十億円を見積もり、民間側が供出する財源は「ジェイコム基金」の一部を充てる予定。なお今件について26日現在、関連する企業・機関から正式な発表は行なわれていない。

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元記事によると今回起工されるネットワークに参加するのは東京証券取引所など全国の6取引所、証券取引等監視委員会、関東など5財務局、各証券会社、日本証券業協会。これら関連機関・企業は9月18日に、疑いがある株取引に関する報告様式の統一化を行い、その上で連絡用ネットワークを一本化する。具体的には東京・大阪などの4取引所のシステムを接続して監視委員会などに向けて専用線を敷き、参加機関内での情報の共有化と迅速な審査を促進するという。

民間側負担分資金の供出は「ジェイコム基金」(証券市場基盤整備基金)から行なわれる。これは【ジェイコム(2462)誤発注利益受け皿基金に証券会社50社が209億円拠出】でもお伝えしたように、2005年に発生した【ジェイコム(2462)】株式への誤発注に絡んで発生した利益を関連証券会社から返却させ、誤発注防止などの目的に使用する基金として設立されたもの。

正式発表がいずれの機関からも行われていないので詳細は不明だが、体裁としては「証券取引総合監視ネット」のようなものだろう。情報の共有化と統括管理で問題のありそうな行為の迅速な抽出を行うのみで、具体的な活動(罰則適用のあり無しの判断やその実行)はこれまで通りそれぞれ専門の機関に任せるものと思われるが、同時に各不法行為への罰則の強化もしなければあまり意味はないだろう(それこそ「見てるだけ」では無意味、ということだ)。

それと同時に、監視ネットワークに参加している証券会社内の自己売買部門における利益相反問題(※)などにもスポットライトをあてて、監視体制を強化すると共に問題ある売買には何らかの規制を設けることも検討しなければならないだろう。場合によっては監視対象とされる一般投資家の不正行為以上に、問題のある取引が行われている可能性も否定できないのだから。

※利益相反問題:この場合は、証券会社内の自己売買部門の利益を確保するため、顧客である一般投資家の利益を損なうような売買を「一般投資家よりも有利な立場・環境で」行なうことを指す。簡単に例えれば、試験制作を担当した先生自身が試験に参加し、他の人の順位を下げるような行為。または商店街のくじ引きを作った店員自らがクジを引き、(どこに何等が入っているのかを知っているため)まんまと1等賞に当選するようなもの。

(最終更新:2013/08/19)

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