「もっとお米を食べましょう」米の消費量、着実に減少中

2007年08月20日 06:30

ご飯イメージ農林水産省は8月17日、お米の1人・1か月あたりの消費量の最新データを発表した。それによると2007年6月分のお米の1人・1か月あたりの消費量は前年同月と比較して、全世帯で1.1%減少し、4キロ696グラムとなった。お米の消費量は年々少しずつではあるが減少しており、2003年以降は5キロ/人・月を割り込む状態が続いている(発表リリース)。

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発表リリースでは消費世帯・生産世帯(お米の生産農家)別の消費量も算出されているが、一般的に見て生産世帯の方が消費量は大きい。消費世帯・生産世帯をあわせた全世帯について消費量を平均化した上でグラフ化すると次のようになる。

お米消費量・年ベースの推移(1人・1か月あたり消費量)
お米消費量・年ベースの推移(1人・1か月あたり消費量)

誤解のないように断りを入れておくと、このグラフではY軸の下限が4700グラムになっている。2000年と2006年を見比べて「消費量が半分以下に減ってる!?」と思われるかもしれないが、そんなことは決して無い。ただ、実際に「確実に、少しずつだが消費量が減少している」ようすは理解できるはずだ。

ご飯一杯は大体200グラムで計算されるため、(精米と炊いたお米を「あえて」同じ量で概算すると)一か月あたりの消費量はこの7年間で、ご飯1杯半から2杯分減ったことになる。

月次ベースでもう少し細かいデータを見てみると次のようになる。

お米消費量・月次推移(1人・1か月あたり消費量)
お米消費量・月次推移(1人・1か月あたり消費量)

月ごとでグラフ化すると上下感がある(梅雨の時期は消費が少なく、年末年始は多い)分かりにくいが、黒で近似曲線を引くと、やはりここ2年間でもゆっくりと消費量が減っているのが分かる。

それでは「お米の値段が上がったから消費量が減っているの?」と思われるかもしれないが、そうではない。【農林水産省発表のブランド米などの価格調査結果(PDF、120ページ後半あたりから)】を見れば分かるように、お米の値段はむしろ下がる傾向にある。たとえば、

・北海道きらら397……3773円/3648円/3595円
・宮城ササニシキ……4523円/4407円/4432円
・秋田あきたこまち……4595円/4414円/4226円
・新潟コシヒカリ……5458円/5332円/5204円

(価格はすべて左から2004年/2005年/2006年産平均、精米10キロあたり)


にもあるように、お米の販売価格はむしろ下がっている傾向にある。

ではなぜお米の消費量が減少しているのか。これは【バイオエタノールの需要急増で食料不足懸念高まる・政府も再確認】でも説明されているが、食生活が多様化し、主食にお米を食べる比率が低下しているからに他ならない。ちなみに、お米以外のパンやめん類の材料となる小麦は生産費などの関係から輸入ものがほとんど。結局お米からパンやめん類に主食が移行することは、食料自給率の低下にもつながることになる。

お米は「炊くのが面倒くさい」「炊いてしまうと日持ちしにくい」「パンと比べると持ち運びしにくい」など現代風のライフスタイルをしている人には、扱いにくい主食かもしれない。しかし自炊で「お米を炊く」ことはできても「パンを小麦粉から作る」「粉を練ってめんを作る」ことは手間を考えれば非常に面倒、ともいえる。

食料自給率云々というような難しい問題を挙げて「米を食え」とは言わないが、価格も安いことではあるし、もう少しお米を見直し、再評価しても良いのではないだろうか……と、最近【和食中心のレシピサイト】をつくってちまちまと和食レシピを追加し、創った料理を前に「やっぱりご飯が合うよね」と思っている身としては、提案したくなるものである。


■関連記事:
【麦飯、玄米、五穀米……素朴な米食を見直してみる】


(最終更新:2013/08/19)

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