「うつ」には「正しい知識」「医師との双方向対話」「周囲のサポート」が必要

2007年08月04日 19:30

医療イメージ製薬会社の【グラクソ・スミスクライン】は7月30日、6月に実施したうつ病患者の「アドヒアランス(能動的・積極的な治療に患者が参加すること)」に関する調査結果を明らかにした。それによると患者がアドヒアランス向上を果たすには「患者の正しい知識」「医師との双方向コミュニケーション」「周囲のサポート」が必要であるという結果が明らかになった(【発表リリース】)

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今調査は治療のために抗うつ薬を処方された20歳以上の男女に対してインターネット調査の形式で行なわれたもの。2955人に対して調査を実施し、回収された2780サンプルのうち2666サンプルを分析対象としている。なお「アドヒアランス」とはリリースでは「コンプライアンス(服薬遵守)」という医師主導型の概念より一歩進んで、患者が治療法や治療方針を理解・納得し、より能動的・積極的に治療へ参画できる状態をあらわす概念」と説明されている。

「抗うつ薬」に限らず薬は基本的に主治医に指示された量を指示されたように服用すべきなのだが、多くの薬が患者の自己判断で服用量、回数が減らされているという現実がある。この理由の多くが「副作用が正しく理解されていない」「依存性や習慣性がある、という間違った認識が隠れている」というデータが出ている。

また、主治医との間に良好なコミュニケーション関係が保てていれば、服薬の量・回数を守れている割合も高いというデータが出た。

主治医とのコミュニケーションと服薬の遵守の割合。左側は「意図的に違うように飲んだ/飲まなかった」、右側は「自分の判断で通院しなくなった」割合
主治医とのコミュニケーションと服薬の遵守の割合。左側は「意図的に違うように飲んだ/飲まなかった」、右側は「自分の判断で通院しなくなった」割合

コミュニケーションが良好と判断されるには今回の調査では

・治医の要素
  説明が分かりやすい
  患者の意向を考慮している
・患者自身の要素
  不明・不安な点は尋ねているか
  自分の希望を伝えられているか


などが当てはまらねばならないという定義である。これは何も特定の病気に限らず、すべての医療現場において必要な要素といえよう。

また、うつ病治療の上で誰のサポートが重要かをたずねたところ(患者本人に、という点に注意)、「同居している家族」が71.3%ともっとも多くを占めた。

患者にとって重要な周囲のサポート
患者にとって重要な周囲のサポート

どのようなサポートが必要なのかを指定した上でなく、漠然とした「サポート」という言葉で一まとめにされているのが気になる。が、同じ家族でも「同居していない家族」の3倍近い割合で「同居している家族」が挙げられていたり、「恋人」よりも「知人・友人」「職場の上司」の方が割合が多いことから、時間的に共に過ごすことが多い身近な人が患者にとっては重要なサポートとなりうる(少なくとも患者からはそう思われている)ことがうかがえる。


「患者の正しい知識」「医師との双方向コミュニケーション」「周囲のサポート」という三要素は、今回あくまでも「うつ病」という限られた状況での調査結果で明らかになった能動的治療参加概念だが、実際には他の多くの病気にも当てはまるのではないかと思われる。

当方(不破)がかかったネフローゼ症候群も内臓の問題であるだけに、視覚的に「治ったように」見えても実際にはそうでない状況が続いているのだが、周囲からは「見た目が元に戻った=完治した」と思われ、色々と辛い思いを体験している。また最近よく耳にする「がん」でも、この3要素はきわめて重要だろう。

逆に考えれば今回の調査結果は、「うつ病」も色々な偏見や誤解があるが、つまるところ他の病気と何ら変わるところはない、それを実証する一つの証拠なのかもしれない。

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