国の借金は過去最高の836兆5213億円・国民一人当たり654万8112円に

2007年08月25日 12:00

株式イメージ財務省は8月24日、2007年6月末現在の国債及び借入金並びに政府保証債務現在高を発表した。それによると、国債や借り入れなどをあわせた「国の借金」は過去最高額の836兆5213億円にのぼることが明らかになった。国民一人当たりに換算すると654万8112万円になる。

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昨年同月と比べると「国の借金」の額は2兆1427億円の増加(0.26%の増加)に留まっているが、これは景気回復による税収増で、新規国債(特に短期国債)や短期借入金が減ったため。ただしその分長期借入金が大幅に増加している。

この「国の借金」である836兆5213億円を【総務省統計局の最新データ(2007年6月1日現在の概算値)】における人口1億2775万人で除すると、国民一人当たりの借金は654万8112万円になる。【国税庁の民間給与の実態調査結果】によれば2005年度におけるサラリーマンの平均給与は約437万円なので、約1.5年分の稼ぎが丸々一人あたりの借金になる。これが夫婦+子ども二人の家族なら(654万円の借金は「一人あたり」なので)、約6年分の稼ぎをすべて差し出して、ようやく借金が返済できる計算だ。

そして国の借金の大部分を占める国債だが、今後市場金利が上昇すれば金利負担が大きくなり、借金の負担がますます増える可能性が高い。

【財務省の専用ページ】には国債(公債)に関する各種データが掲載されているが、それによると建設公債と特別公債をあわせた公債残高は増加の一途をたどっているのが分かる。また、平成元年前後に一時特別公債の発行をゼロに抑えるなどの緊縮財政を果たし、予算に対する国債依存度を10%未満に抑えた期間もあったが、現在では国債(=国の借金)の発行額・依存度も再び上昇している(ここ数年は30~40%、年間30兆円強で推移)。当然、発行額が増えれば積み立てられる残高も増えることになる。

2006年度までの公債残高推移(クリックして拡大)
2006年度までの公債残高推移(クリックして拡大)

解説ページではこれらの「収支バランスの悪化」を解決するために、まず最初に国や地方をあわせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指すとしている。これは要するに「新たに借金(国債発行)をすることなく、その年度の税収で支出をまかない、さらに余りの部分を借金返済に充てて借入金の利子負担を減らそう」というもの。逆に借金がかさんだままの状態が続くと、世代間の不公平感が拡大したり国債そのものへの信頼が低下したり、財政が硬直化し、経済そのものが低迷してしまう(【参考資料】)。

家計の財政を安定化させるには「収入を増やし」「支出を切り詰める」「借金を返して利子負担を減らす」と単純化できる。ただし国家財政ともなると、家計と同様に考えるのは難しい。「借金を返して利子負担を減らす」のはともかく、「収入を増やす」ために税率を上げれば経済は縮小するかもしれないし優秀な企業は海外に逃げる可能性もある。仕事をする人たちのやる気も損なわれかねない。「支出を切り詰める」行為は景気そのものの圧縮を導く可能性もある。

まずは単なる「支出の切り詰め」ではなく「無駄使いを無くして効率的な予算の使い方」を徹底し、現行の予算で経済の活性化による「収支の拡大」を推し量っていくのが、財政健全化の一番の近道のようだ。

……という状況は三か月ほど前の【国の借金は過去最高の834兆3786億円・国民一人当たり653万1339円に】から何も変わっていない。むしろ参議院選挙の結果を受けて、「格差是正」のためのばら撒き施政が主に野党側の主張によって行なわれる可能性が出てきている。「ばら撒き」は一時的な効果を生み出すものの、その原資は税金であるため、結局その税金を支払う国民自身に負担が降りかかってくるのは言うまでもない。

国庫は無尽蔵にお金が沸いてくる魔法のサイフでないことは、今回の財務省の発表データを見ても明らか。「注目と支持を集めるため、国庫のことなど気にせずにお金をばらまきましょう♪」などという愚策を考える前に、厚生労働省の「労働経済白書」や経済産業省の「経済産業白書」が指摘しているように、「従業員への業績向上の恩恵配分」がしっかり行なわれるような施策を考え、提案すべきなのだろう。

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