ロシア、戦略爆撃機による24時間パトロール飛行を再開・15年ぶり

2007年08月19日 12:00

Tu-95(ツポレフ95)イメージ【AriForceTimes】などが報じたところによると、ロシアのプーチン大統領は8月17日、戦略爆撃機による24時間のパトロール飛行を再開するように命じた。この再開命令は冷戦終結後15年ぶりのことになるという。

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Tu-95(ツポレフ95)イメージ今件は17日にロシア領内のウラル地域で行われた、上海協力機構の合同軍事演習の際に記者団に対し、プーチン大統領が明らかにしたもの。記事などによると、ロシア軍はロシアの領空(国土上空や経済水域)、さらには艦船などの航路の上空で、長距離爆撃機による24時間体制のパトロール飛行をプーチン大統領の命により再開した。このパトロール任務は冷戦終結後は停止されていたが、このたび15年ぶりに再開したことになる。

パトロール任務を受けているのは戦略爆撃機Tu-160(ツポレフ160)やTu-95(ツポレフ95)。必要に応じて空中給油機から給油を受けつつパトロールを遂行している。

今回の定期パトロール飛行再開に際しプーチン大統領は「1992年の冷戦終結後、ロシア側は一方的にパトロール飛行を停止した。しかし残念なことに他の国はそれに追随することはなかった。この状況はロシアの安全保障体制に問題を生じさせる結果となった(Starting in 1992, the Russian Federation unilaterally suspended strategic aviation flights to remote areas. Regrettably, other nations haven’t followed our example. That has created certain problems for Russia’s security.)」とコメントしている。

またプーチン大統領はこの定期便再開について「ロシア軍のパイロットはあまりにも長い間地上勤務に従事していた。今回、新しい任務を与えられ、空を飛べるようになったことはきわめて幸せなことである」と述べ、意義あることと誇らしげに語っている。

定期便の再開と前後し、ロシア側では戦略爆撃機を用いたデモンストレーション的な強行偵察をプーチン大統領の就任後、相次いで実施している。参照記事によれば、

・2006年9月下旬……アラスカ西海岸近くで確認。アメリカ空軍は3組の迎撃戦闘機を出動
・7月……イギリスの飛行場付近まで接近しているを確認。ノルウェーとイギリスの迎撃戦闘機が出動、捕捉
・8月8日……グアム近辺で確認。アメリカ空軍の迎撃戦闘機は出動せず


などの事例が挙げられている。

今回のパトロール再開は、ヨーロッパのミサイル防衛計画をアメリカ側が強行したことなどで米露関係が悪化している状況を受け、ロシア側がアメリカをけん制する意味合いや、ロシア側の「かつての冷戦時代のように、ロシアを対等な力を持つ国と見なせ」というロシア側のメッセージが見て取れる。それと同時に(パイロットや整備士の技術維持・向上には役立つものの)ぼう大な経費がかかる24時間フルタイムのパトロール飛行を行なえるだけの燃料・経費上の余裕がロシアにも生まれてきたという、経済的な発展を示す一つの指針と見てよいだろう。

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