記録のない年金保険料の判断基本方針、第三者委員会が基本方針決定

2007年07月10日 08:00

株式イメージ【総務省】が設置した公的年金の記録が大量に失われている問題について討議する【年金記録確認第三者委員会】は7月9日開催した会合で、領収書などの保険料を納めた物的証拠がない場合、申し立ての内容が「社会通念に照らし合わせて明らかに不合理ではなく、一応確からしい」場合には、その申し立てを認めるという判断の基本方針をまとめ、菅義偉総務大臣に提出した(参照:NHKなど)。

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第三者委員会がまとめた判断の基本方針は次の通り。まず公的年金の加入記録問題を、社会保険庁などの行政機関の管理に起因する問題と定義し、管理不行き届きであることも示唆した。その上で今後は、年金の支給を求める人の立場に立ち、その主張を十分にくみ取って、公正な判断を示すとしている(ごく当たり前のことだが、これまでして来なかったのかというツッコミはあるだろうがここでは置いておく)。

その上で申し立てを「明らかに不合理ではなく、一応確からしい」と判断する根拠として次の項目を挙げている。

■国民年金の場合
・銀行口座から保険料に相当する金額の引き落としがある
・家計簿に、保険料に相当する金額の支出が記されている
・保険料を納めた記録のない時期が短期間で、ほかの期間は納めている
・申し立てた人の配偶者(結婚相手)などが保険料を納めている

■厚生年金の場合
・給与明細などで保険料を納めたことが推測される
・事業主の証言が申し立てと一致する

■これらの根拠がない場合
・申し立ての内容などに基づき、支給するかどうか総合的に判断する


政府ではこの決定を受けて今月中に全国50か所の国の出先機関に第三者委員会の地方委員会を一斉に設置し、申し立ての受け付けを始めることにしているとしている。

公式サイト上では7月9日の段階で「年金記録や確かな納付の記録がない方々からの申立ての受付は、現在準備中です」としているが、今日の決定を受けて近日中に申し立て受付を開始する予定である。気になる人は逐次上記リンクから確認してほしい。

繰り返しになるが長年の間、行政事業に携わる者(というより「仕事を為す者」)として義務以前の常識的な「お客の立場に立ち、耳を傾け、そして何よりも公正な判断を下す」ことが満足にできていなかった社会保険庁の責任は十分以上に問われるべきだし、団体のみならず関係各員にも監督不行き届きの責がないわけではない(もしそうなれば、「社会保険庁を解散して責任全部そこに負わせてオシマイ♪」とし、ほくそ笑む人たちがいるだろう)。

だがまずは何よりも最初に為さねばならないのは、支払った年金保険料の正確な、そして過不足無い把握と、もし不足している受給者がいればそのアフターケアに他ならない。「総合的に判断」「確からしい」など、絶対的な固定基準ではなく現場の担当の判断に任せられる面も多く、各地域による差が生じる可能性もある。しかし各スタッフは厳密で正しく、そして誠意を持って対処すべきである。

もちろんこの混乱に乗じて「払っていないけど強く主張して証拠を偽装すれば払ったことにしてもらえるかも」と考える不貞の輩も出てくるに違いない。そういう人たちには「愛を持って」しかるべき報いを受けてもらうべきだろう(笑)。

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