「2030年夏・27度以上の暑い夜は今の3倍に」地球シミュレーター試算結果

2007年07月03日 08:00

地球温暖化イメージ【国立環境研究室】は7月2日、現在の地球温暖化現象が進展すると、2030年の夏には日本において最低気温が27度以上の「暑い日」が3倍にまで増加するとのシミュレーション結果を発表した(【発表リリース】)。

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今回の調査は1951年~1970年を基準期間とし、その期間と2011年~2030年の予想気温との比較を地球全体の大気や海洋のふるまいを計算する「地球シミュレーター」によってシミュレーションしたもの。ただし1981年~2000年を基準期間にしても結果は大きく変わらないという。

想定は「将来の世界が経済重視で国際化が進む(要は温室効果ガスの削減があまり進展しない)」という状況。その結果、2011年から2030年に間に、それまでの期間と比べて「暑い昼・夜の増加と寒い昼・夜の減少」が予想されたという。

この「温暖化傾向」は地球全体の自然的な気温の揺らぎ(自然のさまざまな突発的現象による動き、誤差)でカバーしきれる範囲のものではないため、今後世界各地で温暖化の傾向が顕著に現れる可能性が高いとしている。

気温頻度と気温分布の関連図
気温頻度と気温分布の関連図

元リリースには各種図版が掲載されているが、もっとも分かりやすい「気温頻度と気温分布の関連図」を上に掲載した。1951年から1970年(1981年~2000年)と2011年から2030年では明らかに後者の方が温度の分布が高まる傾向にあるのが分かる。

また、平均気温は2011年から2030年の平均で約1度上昇すると推定している。この予想では、2011年から2030年には(東京を含めた)東アジアの暑い夏の頻度が現状の2倍から3倍に増加、35度以上になる猛暑日も5割増し程度に増加することを意味している。さらにこの数字には都市化によるヒートアイランド現象は考慮されていないので、地域によってはさらなる温暖化が推定される。

くだんのクリントン前大統領による「不都合な真実」では50年から100年単位での地球の環境変移が語られていたが、5年、10年の単位でこのように具体的な影響が出る可能性が高いことが示されたのは、ある意味衝撃的でもあろう。現状ですら「昔と比べて暑くなってないか?」と感じ、気象データでも実際にその実情が証明されている昨今、今後適切な温暖化対策を取らないとさらにその状況が進展するという今回の調査結果は、正直頭が痛い話ではある。ましてや都市部ではさらにこの状況にプラスして温暖化が進展する可能性が高いことを考えると、「日中40度を記録」が毎日ニュースで流される日もそう遠くないのではないかと思えてしまう。

唯一の救いは、今回の予想が「将来の世界が経済重視で国際化が進む(要は温室効果ガスの削減があまり進展しない)」という想定で計算されたものであること。技術の進歩と有効な活用、積極的な対応で温暖化を食い止める動きが推し進められれば、これとは別の予想が成り立ち、その予想に近い結果も出ることだろう。

地球を一つの生命体と見なす「ガイア理論」は有名な話。人は病気になると対抗菌などの活躍で病原菌を倒す際に発熱するものだが、それに近い現象が地球自身に起きていて、病原菌たる人間達をやっつけようとしているのでは……と考えると背筋がぞっとする。地球という生命体にとって人間が病原菌・ウイルスになり、発熱させて(居場所を失って)しまうような事態だけは避けたいものだ。


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(最終更新:2013/08/20)

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