2006年度の国保医療費、一人あたり年間38万円・伸び率は鈍化

2007年07月03日 19:30

医療イメージ【国民健康保険中央会】は7月3日、自営業者らを対象にした保険である国民健康保険(国保)の2006年度における医療費などの各種データを発表した。それによると国保全体の医療費は19兆1037億円で、一人あたり38万5135円となった。昨年度までと比べると医療関係の制度改正で医療費の伸び率が抑えられているのが分かる(【発表ページ】)。

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医療費の総額(市町村に組合を追加)は19兆1037万円。これは前年度比で0.4%のプラス。毎年の推移は次のようになる。

2000年……15兆9285億円(-1.3%)
2001年……16兆7430億円(+5.1%)
2002年……16兆6915億円(+1.1%)
2003年……17兆7217億円(+4.7%)
2004年……18兆2599億円(+3.0%)
2005年……19兆0287億円(+4.2%)
2006年……19兆1037億円(+0.4%)


ここ数年は3~4%の割合で増加していたのが、今年は0.4%に留まっている。これは2006年度に診療報酬がマイナスに改定されたため、医療費を請求する側の設定が下がったことによるもの。

また、非保険者数は前年比マイナス0.4%で5158万人となった。これは正規雇用やバイト・パートにも社会保険(被用者保険)などへの移行した結果で、前年比マイナスは13年ぶりとなる。

なお、大まかな年齢層別の医療費も算出されており、それによると一人当たりの医療費は

合計……38万5135円(+0.8%)
一般……21万5967円(+2.2%)
退職者…38万0164円(+0.8%)
老人……83万0384円(+1.3%)(74歳以上)


という値。特に老人層の医療費が高く、全体平均の2倍強、一般の4倍近い値が出ている。

さらに医療費については県別のランキングも発表されているが、

■全体のランキング(カッコ内は平均値と比較した値)
1位……高知県(128.7%)
2位……山口県(128.0%)
3位……広島県(127.9%)
4位……北海道(125.1%)
5位……鹿児島県(125.0%)

■老人区分のランキング(カッコ内は平均値と比較した値)
1位……福岡県(123.5%)
2位……北海道(120.0%)
3位……高知県(118.8%)
4位……広島県(115.1%)
5位……長崎県(114.5%)


という結果である。都心部は全体としても老人区分も医療費が比較的低い傾向にあるが、これは安い医者が多いから、ではなく医療費を抑えられる「一般」(若年層)が多いからだと思われる。逆に老人区分のランキングが跳ね上がる北海道をはじめ地方では高齢化とそれによる医療費高騰が顕著化・問題化していることが推定される。

診療報酬のマイナス化や介護医療制度の改正で医療費の伸び率は抑えられる傾向にあるが、だからといって皆が健康になるわけではなく、高齢化が押し留められる理由にもならない。統計上は「医療費が減った≒国民の健康が増進した」と喜ぶむきはあるかもしれないが、医療現場はより財務的に切羽詰った状況になりつつある。またそれと共に、患者の多くも「十分な医療そのものが受けられない」状態なのかもしれない。

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