トランス脂肪酸「日本人摂取量は海外比較で少ない」食品安全委員会発表

2007年06月22日 06:30

フライイメージ【食品安全委員会】は6月21日、諸外国で摂取が問題視されているトランス脂肪酸について、日本人の一日あたりの摂取量は0.7グラムから1.31グラムであり、諸外国と比べると少ない傾向であるとする調査結果を発表した(【発表ページ】)。

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トランス脂肪酸とは人工添加物の一種で、植物油に水素を加えて固める時に発生する油。言い換えれば油を加熱処理した時にできるもの。日持ちを良くする性質があるので、特にお菓子などによく含まれるマーガリンやショートニングなどにも含まれる。またこのトランス脂肪酸なるもの、自然界にはほとんど存在しない。

そしてトランス脂肪酸は冠動脈心疾患のリスクを高めるとされる血中LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を上昇させ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を低下させると言われている。また一般的には、マーガリンを製造する過程で生成される物質だが、天然由来の肉や乳製品にも含まれている物質でもある。要は「採りすぎは脳や心臓、血管の病気に影響を及ぼす」ということ。

アメリカではこのトランス脂肪酸に対し、すでに何度と無く報じているように、摂取をひかえたり他の油に切り替える動きが進んでいる。

食品安全委員会でも3年前にトランス脂肪酸に関するデータ(ファクトシート)を作成し公表していたが、元々の基礎的調査が少ないことからデータの信頼性を高めるため、2006年度に食品におけるトランス脂肪酸含有量に関するデータ収集調査を実施。そのデータに加えて諸外国のトランス脂肪酸に関する情報を加味し、6月21日に「ファクトシート」を更新することになった。

具体的には日本国内に流通している食品386種類についてトランス脂肪酸の含有量を分析。その上で2004年度の食料摂取量、さらには日本マーガリン工業会の食用加工油脂生産量から摂取量を推計。その結果、日本人の摂取量は0.7~1.31グラムで、1日あたりのエネルギー摂取量全体に占める割合は0.3~0.6%という結果が出た。世界保健機構の報告書では「最大でもトランス脂肪酸の摂取量はエネルギー摂取量全体の1%未満が望ましい」としており、この基準はクリアしていることになる(ちなみにアメリカでは平均2.6%)。

とはいえ、同レポートにもあるように、摂取量の算定結果はあくまでも平均的なもの。個人のばらつきが大きく、すべてを把握することは難しい。かたよった食事をしていると平均値を上回っている可能性もある。リリースでも「脂肪の多い菓子類や食品の食べ過ぎなど偏った食事をしている場合では平均値を大きく上回る摂取量となる可能性がある」と指摘している。

日本人は「平均値としては」いまのところ問題なしとされたものの、やはり気になる人は多いだろう。そう感じたら、食事を注文したりお店で料理を手に採る際、含まれる成分一覧を一度見直し、チェックを入れてみよう。トランス脂肪酸が気になる人はそれだけでもかなり効果が出てくるに違いない。

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