政府機関のネット事業への「やる気」をリリースの掲載速度の速さで測ってみる

2007年05月28日 06:30

今年に入ってからは二次情報でチェックを入れても一次情報を探ってより詳細なデータを得た上で記事を書く機会が増えたことから、政府機関や公的機関のサイトを確認することが多くなっている。【東証】【金融庁】【証券取引等監視委員会】は言うに及ばす、【首相官邸】【経済産業省】【農林水産省】【厚生労働省】なども最近ではよくチェックする。それらのサイトをチェックしていて気が付いたのが、各機関のネットへの取り組みの意気込みの違い。

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マスコミ向けの資料が即時サイトに掲載されるわけではない

新聞やテレビに「●×日発表の△■によると~」というニュースが流れると、まずはその発表元のサイトを確認する。ところが大抵の場合、そのようなリリースは「最新情報」や「報道発表資料」のコーナーに掲載されていない。早くて翌日、下手をすると数週間後に掲載することもありうる。

一例を挙げると厚生労働省が発表した、新型インフルエンザに対するガイドライン。【新型インフルエンザで厚生労働省が対策ガイドライン(指針)策定】にもあるように3月26日には一般マスコミに関連資料を配布していたのに、実際に公式サイト上に同じ資料を掲載したのは【3要素をピックアップ・新型インフルエンザ流行に備えた厚生労働省のガイドライン正式発表】で伝えているように3月29日になってから。

マスコミ向けに発した資料があるのだから、そのデータをそのままサイト上にアップロードすれば良いものだろうし、PDFファイル化するにもそれほど手間はかからないはずなのだが、そうスムースに事はいかないようだ。

また、場合によっては「マスコミには流すけど一般公開はしません」というスタンスが取られる資料もある。数は多くないが、「情報公開の概念はどうなってるんだ」と突っ込みを入れたくなることもある。……当方・当サイトの社会的認知度を考えれば仕方ないのかもしれないけれど。

農水省は意外に頑張っている

農林水産省サイトイメージ東証や金融庁、証券取引等監視委員会など金銭関連が直接関係する機関では、その性質上「マスコミへの資料配布」と「公式サイトへの情報公開」はほぼ同時期に行われる。情報の事前リークが関連部署から行われ、当日の早朝の段階で日経新聞やNHKに報じられるお茶目な事態も時々あるが、大抵はほぼ即時と思って良い。

また、(失礼は承知の上で)意外なのが農林水産省。即時性については金融関係の省庁と比べてさほど重要性が高いわけではないはずなのだが、「マスコミへの資料配布」と「公式サイトへの情報公開」はほぼ同日に行われる。新聞やテレビのニュースで「農林水産省が○日に発表したところによると」という言い回しが使われた場合、その日のうちに公式サイトに関連するリリースが必ずといってよいほど掲載されている。

農水省の対応の素早さには素直に評価をしたい。

なぜ掲載が遅れるのか

マスコミ向け資料と公式サイトへの掲載資料は内容こそ同じであれ、掲載ファイル形式が異なるため、それなりの時間と手間がかかるのは理解できる。ただ、形式を統一化したり工夫することで、そのプロセスを簡略化することは不可能ではない。

ある省庁に勤めている人の話によると、部局や省庁によってはネット上の作業を専門の業者に一任しているところもあるとのこと。そのような事例は【陸海空自衛隊の公式サイト、アクセス数でヒートバトル】【戦隊モノのノリな海自プロモビデオ、陸自や空自も腰を抜かす】でも紹介されているので、なるほどうなづける。

ただし業者に一任した場合、どうしても時間がかかることになる。例えば金曜日に発表した資料をネットに公開する場合、業者への送付便のタイミングの問題や、業者側の事情、事実確認のやりとりなどから遅れてしまい、金曜日中には終わらず、土日も休みなので月曜に入ってからとなってしまう。また、部局内・省庁内で処理をしていたとしても、作業に手間取り金曜日中に終わらなければやはり掲載は月曜以降になってしまう。

「土日も働け」と無茶をいうわけにもいかないが、金曜にマスコミに流された資料がネット上に公開されるのは三日後というのは、少々首を傾げてしまうお話だ。

当方のようなサイトのスタンスとしては……

新聞記事などは元々各機関から配布された資料を元に書かれているため、元ソースは同じになるのだが、やはり一度各マスコミの「フィルター」を介するため、意図をつかみきれない場合が多い。また数字も概略化されたり、元資料にはあるはずのデータが得られない時もある。

こんな時は新聞記事や新聞サイトの記事を読みながら地団駄を踏みつつ、「妥協してこの記事を元に『~によると』で書くか……でも焦点がぼけるよな」「資料の正式発表を待つか……でもいつになるか分からないし」という葛藤にさいなまされることになる。

結局のところ「速報性を活かすか、自分で吟味したいか」という判断はその素材や関心度で決定されることになる。場合によっては先の「新型インフルエンザのガイドライン」のように、速報性を活かして新聞記事を元に第一報を挙げ、機関発表の資料を待って続報を書くこともある。だがこれは二度手間になるので、あまりしたくないパターンだ。

各省庁のサイト関係者には、これまで以上に「がんばって」ほしいものである。

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