「地デジ」知ってる人は93.9%、持ってる人は27.8%・総務省調査結果

2007年05月08日 08:10

時節イメージ【総務省】は5月7日、地上デジタル放送の認知度に関する最新調査結果を発表した(【発表リリース、PDF】)。それによると現在何らかの形で「地デジ」対応のテレビを持っていると答えた人は27.8%、知っている人は9割以上の93.9%に及んでいることが明らかになった。

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知っている人は9割強、持っている・見ている人は2割超

「地上デジタルテレビ放送」こと「地デジ」は新世代のテレビ放送形式で、現在まで主流の座にある「地上アナログ放送」にとって替わる方法として急速に普及が進んでいる。また、2011年には地上アナログ放送による放送が停止され、原則として地デジ未対応のテレビではテレビ放送が受信できなくなる(つまり「テレビが見られなくなる」)。

このような「地デジ」について2月22日以降郵送によるリサーチを総務省が全国の15歳以上80歳未満の男女に対して行い、7269件の回答を元に分析をしたところ、「地デジそのものを知っている人」は90.9パーセントにも及んだ。ところが「知っている」人の中で自分が住んでいる場所が地デジの視聴エリアかどうかについて「可能」と答えたのは65.1%に過ぎず、「分からない」が21.8%に達し、「まだ視聴できないエリア」も12.7%に及んでいることが分かった。「地デジは知っているが自分の住んでいる場所が対応エリアかどうか」という認識に対しては今ひとつのようだ。

地デジ対応テレビ世帯普及率は27.8%
視聴率は22.0%

また、地デジ対応テレビの世帯普及率は27.8%、視聴率は22.0%といずれも2割を超えており、家電商品が加速度的に普及し始める「クリティカルマス」といわれている水準20%に達したことが明らかになった。分析では今後、急速に普及が加速すると見ている。

視聴した人の満足度では「満足した人」は69.3%、「不満」は8.4%に過ぎず、満足した人の93.7%までもの人が画質の良さを挙げている。「双方向通信が可能」という大きなメリットの代名詞ともいえる「データ放送」も41.9%が満足した理由に掲げており、「地デジ」の普及意図はある程度正しく浸透しているように思われる。

「2011年に停波」正確な認知度は6割程度

一方、地上アナログテレビ放送が停波(放送を停止)するのは2011年で、以後は地デジ対応テレビでないとテレビ放送を受信できないということについては、知っている人は60.4%に過ぎなかった。間違った年数を認識している人が15.3%、知らない人が24.3%にも及び、啓蒙活動の必要性がうかがえる。

また、「2011年に地アナ停波」という事実に対し、「地デジが視聴できるから良い」と答えた人は37.6%、「地アナを続けて欲しい」人は43.1%に達した。一方、「国の政策だから仕方ない」とあきらめる人も29.3%に及んでいる。特に「地デジ」視聴者は「地デジが視聴できるから良い」と答えたのが48.9%に達している一方、まだ視聴できない人は46.7%が「地アナを続けて欲しい」と答えている。

「値下がり待ち」「まだ時間がある」が多数

現在「地デジ」を視聴できない人の理由を尋ねたところ「対応する受信機を持っていないから」が61.0%、「地アナ終了までに対応すればよいから(まだ急ぐ必要は無い)」が52.5%と、「単に持っていない派」と「のんびり派」がそれぞれ過半数を超えていることが分かった。

地デジ受信機、いつ買う?
「今のが壊れたら買う」39.2%
「安くなったら買う」29.2%

さらに「まだ一台も地デジを持っていない人」に、今後購入するかどうかを聞いた所、「今のテレビが壊れたら買う」が39.2%、「受信機が安くなったら買う」が29.2%を数え、あまり急いでいない様子が裏付けられている。

そして購入時に重視することでもっとも多い理由が「安いこと」で76.4%と、他の理由(「音質・画質が良い」59.6%、「信頼できるメーカー」53.2%など)から群を抜いており、地デジ対応のテレビやチューナー内蔵のビデオ・レコーダーの価格が下がることが普及率向上にはもっとも効果的という推測ができる。


今回の地デジに関する総務省の調査結果をまとめると、

「テレビが見られなくなるのはイヤだけど、2011年の地アナ終了までは時間がある。まだまだ価格も高いし、もう少し様子を見てもいいかな。絵はキレイでデータ放送も魅力的だけど、どのみち2011年に近づくにつれてもっと多くの受信機が発売されるし価格競争で値段も下がるんだから」


という考えが世間一般の認識だと思われる。黙っていても2011年が近づけば必要性から普及度は高まるだろうが、それ以前にさらに普及度を高めたいと政府や業界が考えているのなら、「価格を下げる努力をさらに続ける」「『地デジならこんなにメリットがあるよ』と宣伝し、また実際にそのメリットを次々今のうちから導入する」の2点に重点を置く必要がありそうだ。

【地上テレビ放送の現状とデジタル化への対応について(日本政策投資銀行)(PDF)】によると、日本国内のテレビの普及台数は1億台から1億2000万台(4800万世帯)。3年前のデータなので現在ではもう少し台数が増えているだろう。かなり大雑把な計算(レコーダーや外付けチューナーで地デジ対応化させている可能性を考慮せず)で、これに保有率27.8%をかけると、最大で8000万台から9000万台のテレビの買い替え需要が生じる可能性がある。

ただ、携帯電話やパソコンでテレビ放送を受信するなど、受信スタイルが多様化したり、「地デジ化するならテレビを見ない」という意見も聞かれ、現実には「地デジ特需」はもう少し下回るかもしれない。

それでも今後5年ほどの間に、地デジに切り替える人は大幅に増えていくことだろう。各家電メーカーがどのような魅力のある商品を出してくるのか、今はそれが一番の楽しみといえよう。

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